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小児心臓外科手術後における超短時間作用型β遮断薬の効果
聖隷浜松病院心臓血管外科1),小児循環器科2)
杉浦 唯久1),小出 昌秋1),國井 佳文1),梅原 伸大1),渡邊 一正1),武田 紹2),中嶌 八隅2)

【目的】国内で開発された超短時間作用型β遮断薬(landiolol)は半減期が 4 分と短くβ1受容体選択性が高いことから末梢血管や気道に対する影響が少なく術後急性期でも安全に使用できる可能性が高い.そのため成人心臓外科手術の術後管理においてその使用が増えつつあるが小児領域における使用報告はいまだ少ない.今回われわれは術後管理にlandiololを使用した小児心臓外科手術症例におけるその効果について検討した.【方法】2007年 4 月から 9 月までに小児心臓手術後にlandiololを使用した症例 5 例(平均年齢1.7±1.0歳)について検討した.術式の内訳はFontan手術 3 例,Glenn手術 1 例,aspleniaに対するPVO解除術 1 例であった.Fontan手術,Glenn手術に対しては頻脈による心拍出量の低下を防ぐため,aspleniaに対する 1 例では上室性頻脈の抑制を目的に使用した.循環動態の指標としてlandiolol投与前後の血圧,脈拍を記録した.【成績】landiololの初期投与量は平均5.1±0.73γ,維持投与量は平均9.1±1.7γであった.平均投与時間は25.6±11.7時間(14~39時間)であった.landiolol投与前の平均心拍数は132±19.3回/分,投与後は118±19.6回/分(平均投与後時間42分)と心拍数はlandiolol投与後有意に低下した.landiolol投与前の平均収縮期血圧は107±16.8mmHg,投与後の平均収縮期血圧は102±18.7mmHgとlandiolol投与後若干の血圧低下を認めた.全例において有意な副作用は認めなかった.【結論】小児心臓手術後急性期のlandiolol投与により有意な心拍数低下を認め,循環動態の改善に有効であった.landiololは小児心臓手術後急性期に安全に使用できるβ遮断薬として期待できる.

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