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総肺静脈還流異常症を合併した無脾症候群—新生児緊急手術の 2 例
東京都立八王子小児病院心臓血管外科1),小児科2)
厚美 直孝1),川島 大1),中山 至誠1),渋谷 和彦2),横山 晶一郎2)

【目的】新生児期に総肺静脈還流異常症(TAPVC)に対する緊急手術を施行した無脾症候群の 2 例について,手術前後の経過を検討すること.【症例 1:PVOによる緊急手術】日齢 0,男児.房室中隔欠損,大血管転位,肺動脈狭窄,両側上大静脈,TAPVC Ib型.進行する低酸素血症のため日齢 0 で緊急TAPVC修復術を施行.日齢 2 に肺動脈絞扼術を追加.以後良好に発育し,生後 7 カ月で両側両方向性Glenn手術を施行した.現在TCPC待機中.【症例 2:腸管虚血による緊急手術】日齢10,女児.単心房,単心室,肺動脈閉鎖,動脈管開存,TAPVC III型.生後lipo PGE1投与にて安定.日齢 9,心臓カテーテル検査施行後に嘔吐を繰り返し麻痺性イレウスと診断.動脈管開存に伴う体肺循環のアンバランスに加え,静脈管が閉鎖したことによる高度のうっ血から腸管虚血を生じたと考え,翌日緊急TAPVC修復術を施行した.日齢16,腸管穿孔を起こし腹腔ドレナージを施行.その後,人工肛門造設を必要としたが軽快した.生後 4 カ月に左BTシャントを施行して退院した.【結語】総肺静脈還流異常症を合併した無脾症候群では,症例ごとの病態に対応した迅速な判断と緊急手術が必要となる場合がある.

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