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難治性川崎病に対するシクロスポリンの効果
県立広島病院小児科
木下 義久

【目的】免疫グロブリン静注療法(IVIG)とメチルプレドニゾロン(m-PSL)パルスに抵抗性の難治性川崎病に対してシクロスポリン(CyA)を投与された 4 例を経験したので報告する.【対象】川崎病急性期にIVIG 2g/kg 1 回投与を施行された111例のうち,IVIG追加投与をした24例中,m-PSLパルスを施行されたのは13例.m-PSLパルス後に再発熱またはCRP再上昇した 4 例にCyAを投与された.全例男児で,年齢の中央値0.7歳(0.4~1.8).初回IVIG不応後に 3 例は,追加IVIGを投与された.m-PSLパルスは中央値 7 病日(6~12)から 3 日間施行された.終了後 1~4 日から再び発熱が持続した 3 例と,終了後12日にCRPが再上昇した 1 例にCyAの投与が開始された.CyA投与直前のCRP値は中央値4.3mg/dl(0.3~16.3),WBCの中央値32,250/γl(22,200~40,300),Pltの中央値727,000/γl(44.7~80.7).CyA投与開始時に 2 例に 3mm台の冠動脈拡大が認められた.【CyA投与後の経過】CyAの投与法は 1 例で1.5mg/kg持続点滴,3 例で3mg/kg内服から開始し血中濃度のトラフを100ng/mlを目標として増量した.維持量は 5~7mg/kg/日であった.24時間以内に解熱した 2 例中 1 例は 4 日後から再発熱し,CRP再上昇と冠動脈拡大傾向があったためCyAは中止されインフリキシマブを投与された.また 1 例では37°C後半の微熱が持続したが,13日後には解熱した.さらに 1 例の無熱の再燃例ではCyA投与後から速やかにCRPは改善傾向になった.CyAはCRPが陰性化して 2 週間で中止したが,3 例の投与期間はそれぞれ25,38,43日間であった.CyAで改善が得られた 3 例はいずれも冠動脈病変は一過性であった.【結語】m-PSLパルス終了後早期に再発熱が認められる,ステロイド抵抗性の可能性が高い難治性川崎病に対して,CyAは治療の一つの選択肢となり得ると考えた.

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