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最近 1 年間に経験した先天性心疾患に合併した川崎病の 3 例
東京慈恵会医科大学附属病院小児科
飯島 正紀,高木 健,斎藤 亮太,安藤 達也,浦島 崇,藤原 優子,衛藤 義勝,中澤 誠

【目的】第19回川崎病全国調査では川崎病の年間発症人数が 1 万人を超えてきていることが判明した一方,Down症候群に発症する川崎病は稀少疾患サーベイランスの対象となっている.今回,Down症候群に発症した川崎病を 2 例,大血管転移症のJatene術後の川崎病を 1 例経験したのでここに報告する.【症例】症例 1.1 歳 6 カ月男児,体重6.5kg.Down症候群,AVSDに対してICR実施後PHの残存ありbosentan,methyldigoxin,furosemide,spironolactone内服していたが,2007年 1 月 1 日より発熱認め,1 月 5 日入院となり発熱などの症状あり,不全型川崎病と考えられIVIG 1g/kgを 2 日間,aspirin,dipyridamole実施され軽快した.症例2.2歳 8 カ月男児,体重12.4kg.Down症候群,AVSD・十二指腸閉鎖あり,ICR実施後methyldigoxin,furosemide,spironolactone内服していたが,2007年 3 月 5 日より発熱あり他院にて川崎病の診断となりIVIG,aspirinで加療され冠動脈には病変を来さず,軽快した.症例3.3歳 2 カ月女児.大血管転位症 1 型に対して,日齢 9 にJatene術実施後,AS残存ありPSも認めておりmethyldigoxin,furosemide,spironolactone,enalapril内服にて外来フォローアップ中であったが,2007年 8 月18日より発熱等認め川崎病の診断となりIVIG 2g/kg,aspirin内服実施し経過した.その後のフォローアップのカテーテルではLCX低形成の造影所見であったためにMDCTを実施した.【結語】Down症候群に発症する川崎病は2005年の報告では 1 例,2006年の報告では 4 例と少ないが存在しており,遷延する発熱などでは川崎病も鑑別診断として含めるべきである.Jatene術後の症例においてはエコーやカテーテル所見とならんでMDCTの評価も非常に有用であった.

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