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川崎病に対するγグロブリン大量療法不応例の検討
横須賀市立うわまち病院小児科
佐藤 大,村島 義範,宮本 朋幸

【はじめに】川崎病診断後の初期療法としてγグロブリン大量療法は確立した治療法であるが,10~20%不応例が存在すると言われている.当院では,1 回目投与の不応例にはさらに 2g/kgの追加投与を行っているが,今後DPCの導入病院の増加に伴い,追加投与の決断が難しい場合が増えると思われる.不応例では冠動脈病変の合併頻度が高く,その治療は迅速に行わなければならないと考え,今回われわれは不応例と有効例の比較を行い,早期に次の段階の治療に進むための指標を検討した.【対象と方法】2006年 1 月から2007年12月までの 2 年間で当科にて川崎病と診断し,γグロブリン大量療法を行った患児44例(男児24例,女児20例)を対象とした.入院時,γグロブリン投与前,投与 2 日後の血算・血液像・血液生化学検査の値を,γグロブリン追加投与の有無で比較した.統計手法はT検定,χ2乗検定を用いた.【結果】不応例は男児 6 例,女児 1 例であり,全例γグロブリンの 2 回目投与にて改善し,冠動脈後遺症はみられなかった.入院時CRP(不応例:有効例,平均±標準偏差)11.78±4.67:8.08±4.36(p = 0.0489),投与後白血球数11,414±2,997:6,970±3,239(p = 0.002),好中球桿状核数895±449:228±204(p < 0.001),好中球分葉核数7,310±2,273:2,561±2,052(p < 0.001),好酸球数73±128:269±206(p = 0.031),投与後CRP 10.51±6.77:2.99±2.23(p < 0.001),投与後Alb 2.32±0.38:3.06±0.31(p < 0.001),投与後Hb 10.35±1.30:11.44±0.83(p = 0.006)で両群間において有意差を認めた.今回,男女間での有意差は認めなかった.【考察】入院時CRP値,投与 2 日後における白血球数・好中球桿状核数・好中球分葉核数の高値,好酸球数・Alb・Hbの低値が 2 回目投与の有無に関与しており,早期に追加投与を決断するうえでよい指標となる.

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