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川崎病急性期における単球の活性化のマーカーとしての血清resistinの有用性
佐賀大学医学部小児科学
田代 克弥,西村 真二,濱崎 雄平

【はじめに】resistinは当初インシュリン抵抗性のマーカーとしてマウスで発見されたadipokineの一つであるが,近年の検討でヒトにおいては主として単球活性化・炎症の指標として注目されている.【目的】川崎病における血清resistin値の変化を検討し,炎症性マーカーとしてのresistinの有用性・特性を明らかにする.【方法】(1)川崎病22例について経時的に血清resistin値をELISA法で検討し,正常対照群(12例)・細菌感染群(17例)と比較した.川崎病群では同時に測定した白血球数・CRP値・血清MMP9値と比較検討した.(2)一部の症例では急性期に分離した末梢血単核球を用いてresistinのm-RNAの発現について検討した.(3)同じく急性期に分離した末梢血単核球の蛍光免疫染色を行い,resistinとMMP-9の染色性について正常対照と比較検討した.【結果】(1)川崎病急性期24.8±14.8 ng/mlと正常群4.2±3.6より有意に上昇しており,細菌感染症群17.5±12.2よりも高い傾向を示した.回復期には4.5±5.6経過と共に低下した.冠動脈病変を形成した例はいずれも10病日以降でも高値が遷延しており,CRPよりも正常化までに日にちを要した.(2)末梢血単核球において正常対照・川崎病回復期ではresistinのm-RNAはほとんど発現していなかったが,川崎病急性期には著しく発現が亢進していた.(3)蛍光免疫染色でも川崎病急性期の検体では単球のみ両者の染色が観察された.【考察】川崎病においては病勢と並行してresistinは増加を示し,炎症の推移はCRPよりも正確であると思われた.末梢単核球の検討より,川崎病では単球がそのおもな産生源と考えられ,resistin産生の亢進した単球はMMP9の産生亢進も伴っていた.血清resistinは川崎病単球活性化のマーカーとして有用で,病勢の判定に有用であることが示唆された.

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