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全身に動脈瘤を合併し,14歳時に 3 枝病変の冠動脈バイパス術を施行した川崎病の 1 例
聖マリアンナ医科大学小児科1),心臓血管外科2)
水野 将徳1),後藤 建次郎1),都築 慶光1),有馬 正貴1),麻生 健太郎1),栗原 八千代1),村野 浩太郎1),小林 俊也2),近田 正英2),幕内 晴朗2)

14歳男児,1 歳時川崎病に罹患.IVIGで解熱なくPSL投与した.当時,エコー上で両側冠動脈瘤を確認したが,CT,MRI上で全身の中大動脈(左右腋窩,内胸,腹部大動脈,左右総腸骨,左内腸骨,膝窩)にも動脈瘤を認め,カテーテル検査は困難と判断された.無症状であったため,家族と相談のうえ内服治療にて経過観察となった.2007年 7 月(13歳)トレッドミル運動負荷心電図で虚血性変化を認めた.CT,MRI上両側冠動脈瘤(#1-2,#5-6)を確認できた.心筋シンチでは 3 枝病変の可能性が示唆された.2007年 9 月 7 日心臓カテーテル検査施行し,#2 90%,#3 75%,#6 99%の狭窄を認めた.バイパス術の適応と判断し,10月29日両側内胸動脈を用いた 2 枝バイパス術施行し,術後経過は良好である.今回われわれは,急性期に巨大冠動脈瘤と多発動脈瘤を合併し,カテーテル検査が困難と判断され,長期にわたり内服治療にて経過観察となった症例を経験した.今回運動負荷心電図を契機に心筋シンチ,心臓CT,MRIを経て最終的に心臓カテーテル検査による評価を安全に施行でき,バイパス手術施行まで至ることができた.

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