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免疫グロブリン1g/kg投与では効果が不十分な川崎病急性期患者の予測について
東邦大学医療センター大橋病院小児科1),細野こどもクリニック2)
二瓶 浩一1),小田 優子1),山口 佳世1),細野 稔彦1,2),岸田 勝1)

【目的】近年の川崎病治療における標準的な免疫グロブリンの 1 回投与量は 2g/kgであるが,本邦においては使用しない,あるいは 2g/kgより少量の投与で治癒する症例も少なくない.目的は 1g/kgの免疫グロブリン投与で追加投与の必要となった川崎病患者を早期に発見すること.【方法】免疫グロブリン初期投与量 1g/kgにて治療開始された川崎病患者124例を後方視的に検討した.追加投与の判断は免疫グロブリン投与終了後24時間以上解熱しない場合とした.白血球数,血清ナトリウム値およびCRP値について,免疫グロブリン治療前後の測定値を検討した.【成績】追加投与は48例に行われた.初回免疫グロブリン投与終了後の測定値の変化について注目したところ白血球数が増加した症例と投与後に低ナトリウム血症(< 135mEq/l)を認めた例において追加投与の頻度が高く,CRP値の増加との相関は低かった.さらにこれらのどちらかを満たす症例が追加投与の必要な症例とした場合,特異度77%,敏感度86%で判別可能であった.なお冠動脈病変の頻度は小動脈瘤 3 例である.【結論】免疫グロブリン投与量を少しでも減量する指標として,免疫グロブリン投与直後の白血球数や血清ナトリウム値の評価は,その後の再投与の予測に有用であった.

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