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遠隔期川崎病に対するrapid protocolによる運動負荷心筋SPECTの試み
日本大学医学部小児科学系小児科学分野
松村 昌治,唐澤 賢祐,金丸 浩,中村 隆広,阿部 修,宮下 理夫,鮎沢 衛,住友 直方,岡田 知雄,原田 研介,麦島 秀雄

【目的】川崎病遠隔期の重症冠動脈障害例では安静時心機能や運動耐容能が保たれていることが多く,適切な負荷が冠血流評価の診断能向上に重要である.安静時心機能が正常である症例を対象とし,心筋血流SPECTの際に行う運動負荷で,従来の方法と,短時間で負荷をかける方法で負荷量,合併症に差があるかどうかをみることが本研究の目的である.【方法】対象は川崎病重症冠動脈障害または川崎病遠隔期で胸痛を認めた 6 例である.rapid protocol(RP)施行時年齢は平均17.7歳(12~26歳)であり,conventional protocol(CP)からRPまで 3 年以内であった.エルゴメーターを用い,従来の25または50wattから 2~3 分ごとに25wattずつ漸増するCP法と,50wattから 1 分ごとに25wattずつ漸増するRP法で,負荷時間(分),最高負荷量(watt)および最高心拍数(bpm)を比較検討した.【結果】全例でCP法,RP法とも負荷による合併症は認めなかった.負荷時間はCP法:11.0±2.3分,RP法:8.3±1.8分(p < 0.05),最高負荷量はCP法:113±31watt,RP法:142±38watt(p < 0.05),最高心拍数はCP法:153±23bpm,RP法:160±14bpm(有意差なし)であり,負荷時間と最高負荷量でCP法とRP法間に有意差を認めた.【考察】RP法では短時間に適切かつ十分な負荷をかけることができた.負荷に伴う合併症は認めなかった.しかし,RP法を安全に行うためには,負荷前の心機能評価,負荷中の症状の出現の有無,心電図変化を注意深く観察することが重要である.

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