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大動脈弁狭窄症に対するバルーン弁形成術後の手術的介入のリスクファクター
千葉県こども病院循環器科
本間 順,犬塚 亮,山澤 弘州,中島 弘道,青墳 裕之

【背景】大動脈弁狭窄症(vAS)に対するバルーン形成術(BVP)は,多くの施設で第一選択となっている.しかし,BVP後数年内で手術的介入が必要になる例と,長期間event freeで経過する症例がある.【目的】BVP後早期に手術的介入が必要となる症例と,event freeで経過する症例を比較検討し,手術的介入のリスクファクターを明らかにすること.【対象と方法】1993年 1 月~2008年 2 月に当施設でBVPを施行したvASのうち,手術的介入(Ross術またはKonno術)を行った 8 例(うち 2 例は他院で手術)(手術群)と10年以上event freeで経過している 4 症例(非手術群)のBVP手技,合併症,経過に関して後方視的に比較検討した.【結果】手術群のBVPから,手術までの期間の平均は5.4年(3~9 年),手術適応としては,大動脈弁逆流(AR)の進行(AR 3 度):6 例,vASの再狭窄(AR 2 度合併):2 例であった.非手術群の経過観察期間はBVP後平均11.8年(10~13年)であった.BVP前後のAR増悪を比較すると手術群では,8 例中 6 例で 2 度のARが出現し,その後経過中全例 3 度まで進行し,手術適応となっているのに対し,非手術群では,BVP前後のARの増悪は 0 例であった.なお,ARの増悪とballoon径,A弁径,BPV前後の圧差に関しては,一定の関係は認められなかった.また,手術群の大動脈弁形態は,手術記録によると 2 弁が 3 例,1 弁が低形成で 2 弁化が 2 例,3 弁が 3 例であり,全例BVPによる弁破壊の所見はなかった.このうち再狭窄で手術適応となった例は,全例 3 弁であった.【結語】BVP後手術的介入が必要となるリスクファクターは,BVP前後のARの増悪であった.

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