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MD-CTによる動脈管開存の形態診断—コイル閉鎖術の適応診断における有用性
昭和大学横浜市北部病院こどもセンター1),循環器センター2),昭和大学医学部小児科3)
澤田 まどか1),西岡 貴弘1),松岡 孝1),曽我 恭司1),石野 幸三2),山邊 陽子2),富田 英2),上村 茂2),岩崎 順弥3),板橋 家頭夫3)

【背景】動脈管開存(PDA)のコイル閉鎖術は広く行われているが,適応や手技はPDAの形態や最小径の制限を受ける.【目的】エコー,MD-CT(CT)と心血管造影(造影)でのPDA最小径と形態を比較し,コイル閉鎖術の術前検査としてCTが有用か検討すること.【対象と方法】2001年 4 月から2008年 1 月までにPDAの診断でエコー,CT,造影を行った 8 人.造影施行年齢は 8 カ月から30歳(乳児 1 例,幼児 4 例,学童 2 例,成人 1 例).エコーとCTでのPDAの(1)最小径と,(2)Krichenko分類による形態を造影所見と比較した.【結果と考察】(1)最小径エコー,CTで計測した最小径(y)は,造影のそれ(x)とそれぞれy = 1.17x - 0.07(p = 0.01,r = 0.81),y = 1.04x - 0.10(p = 0.002,r = 0.91)と良好な正の相関を示したが過大評価の傾向があり,エコーでその傾向は強かった.エコーでの最小径が 3mm以上で0.052”Gianturcoコイル適応と判定した 3 例中 2 例がCTおよび造影では最小径 3mm未満であり,Flipperコイル適応であった.エコー・CT両者で過大評価を 1 例認めたが,最小径 2mm以下であり適応判定には変更がなかった.(2)形態エコーでは 8 例中 6 例の形態が不明瞭だったが,形態診断した 2 例は造影と一致した.CTでは全例形態診断が可能で造影とも一致した.2 例ではCTが造影より鮮明にPDAの形態を描出した.(3)コイル閉鎖術の適応診断にCTが有用だったのは 4 例で,エコーのみで問題がなかったのは 4 例だった.CTが有用な例は年長例,エコーで最小径が 3mm以上,type Dの例だった.【結語】CTは年長例,エコーで最小径 3mm以上,特殊形態のPDAへのコイル閉鎖術の適応診断に有用と考えた.一方,幼児例,エコーでの最小径が 2~3mmの例ではエコーのみでの適応診断に大きな問題はないものと考えた.

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