P-82
1 歳未満の動脈管開存に対するコイル閉鎖術
昭和大学横浜市北部病院循環器センター1),島根難病研究所小児循環器班2),昭和大学横浜市北部病院こどもセンター3), 国立循環器病センター小児循環器診療部4),北海道立子ども総合医療・療育センター循環器科5),札幌医科大学小児科6)
富田 英1),羽根田 紀幸2),曽我 恭司3),松岡 孝3),西岡 貴弘3),矢崎 諭4),畠山 欣也5),高室 基樹5),堀田 智仙5,6),山邊 陽子1),上村 茂1)

【背景】1 歳未満の動脈管開存(PDA)に対するコイル閉鎖術はchallengingの場合が多い.【目的】1 歳未満のPDAに対するコイル閉鎖術の成績と問題点を検討すること.【対象と方法】対象は演者または共同演者の羽根田が術者または指導医としてコイル閉鎖術を行ったPDA 32例.月齢は0.5~11(中央値 7)カ月,体重は1.2~10(6.0)kg,PDAの最小径は1.0~4.6(3.3)mmでtype A 26例,CとE各 2 例,BとD例が各 1 例.Qp/Qsは0.7~12.5(2.2)で,22例は肺高血圧を合併.10例は0.052”Giantrucoコイル(052)導入前,22例は導入後.adverse eventsに関与する因子として月齢,体重,動脈管の最小径,形態分類,術者,コイル閉鎖術の施行時期(052導入前後),052使用の有無について検討.【結果】2 例ではコイルの留置を断念.回収のうえ外科治療を行ったが,他の30例ではコイル留置に成功.うち 1 例は持続する溶血のため外科的にコイルを摘出し離断術を行ったが,これらmajor adverse eventの 3 例を除く29例では完全閉鎖し,臨床的成功率は91%.初回留置に用いたコイルは052,Flipper,0.035”reverse tornade detachable(Platina)の順に14,15(2),3,用いたコイルの種類はFlipperのみ,052のみ,052 + Flipper,Platinaのみ,の順に14(2),6,6 で,052 + 0.038”Gianturco(038),052 + Flipper + 038,Flipper + 038が各 1 例(カッコ内は留置断念).留置したコイルの数は1/2/3/5の順に10/9/6/2例,4/6/8が各 1 例.minor adverse eventsとして 3 例ではコイル回収と再留置,2 例で軽度の左肺動脈狭窄,1 例で一過性の溶血.adverse eventsの危険因子には統計学的に有意なものを見いだし得なかったが,major adverse eventsはいずれも 6 カ月以下かつ最小径3.5mm以上の例であった.【考察と結語】6 カ月以下,3.5mm以上のPDAでは外科治療を第一選択とすべきと考えられる.7 カ月以後で,十分な膨大部のある 4mm前後までのPDAはコイル閉鎖術の適応となり得る.

閉じる