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Amplatzer duct occluderを用いた動脈管閉鎖術—Institut Jantung Negara(IJN),Kuala Lumpur,Malaysiaにおける21症例の経験
兵庫県立こども病院循環器科1),マレーシア国立循環器病センター小児循環器科2)
田中 敏克1,2)

【はじめに】コイルでは閉鎖困難な中等度以上の動脈管開存(PDA)に対し,Amplatzer duct occluder(ADO)を用いた閉鎖術が世界各国で行われ良好な治療成績が報告されている.【目的】演者が留学中に施行したADOによるPDA閉鎖術の治療成績・注意点などを明らかにすること.【対象】2006年 2 ~8 月に演者がIJNにおいてADOを用いたPDA閉鎖術を施行した21症例.【方法】症例の年齢,体重,PDAの最小径,使用したシースやデバイスの大きさ,留置結果などを後方視的に調べた.【結果】年齢0.6~35歳,中央値1.8歳,体重5.4~69kg,中央値10kg,PDAの最小径2.1~7.6mm,中央値3.4mm,形態はすべてtype A.使用したデリバリーシースは全例Cook社のMullins sheathで 7F 12例,8F 4 例,9F 4 例,10F 1 例であった.ロングシースを下行大動脈に進める際に用いたガイドワイヤーはテルモ社製ラジフォーカス0.035inchで,2 例(体重6.4kg,6.8kg)でスムーズに進めることができず,大腿動脈から挿入したgoose neck snareでワイヤーの先端をやや引き気味で保持することにより可能となった.デバイスは 8/6(13例),10/8(5 例),12/10(3 例)を用いた.デバイスの肺動脈端の径とPDA径の差は2.9±0.95mm(1.6~5.9mm,中央値2.7mm)であった.release前の造影所見から,2 例で留置形態不良でre-positioningを,1 例でsize upを要した.全症例とも合併症なく留置成功し,翌日の心エコーで遺残短絡や左肺動脈狭窄を認めず退院となった.【考察】PDAコイル閉鎖術とAmplatzer septal occluderの経験がある術者であれば,手技自体の習得は容易と考える.乳児でも施行可能であるが,ロングシースが進み難い症例ではsnareによる補助が有用である.release前の造影所見から留置形態が適切かどうかの判断が重要である.2mm前後の症例ではコイルとの使い分けが問題となる.【結語】ADOを用いたPDA閉鎖術は安全かつ有用な治療法であり,日本への早期導入が期待される.

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