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経皮的心房中隔欠損閉鎖術におけるストップフロー法を用いた閉鎖栓サイズ決定に影響を及ぼす因子の検討
戸田中央総合病院小児循環器科1),埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科2)
松永 保1,2),小林 俊樹2),岡田 尚子2),岩本 洋一2),石戸 博隆2),増谷 聡2),竹田 津未生2),先崎 秀明2)

【背景】ASOを用いた経皮的心房中隔欠損(以下ASD)閉鎖術において,経食道エコー検査(以下TEE)によるストップフロー法(以下BS)を用いた閉鎖栓のサイズの決定は,手技の正否を左右する重要な手技の一つであるが,閉鎖栓の決定に迷うことも少なくない.そこで,BSに影響を及ぼす可能性のある因子について検討したので報告する.【対象と方法】埼玉医科大学にてASD閉鎖術を受けた77例について,実際に閉鎖栓をサイズアップするかBSより 2 サイズ以上大きな閉鎖栓が使用された不適当群(以下 I 群)12例とBSと同じまたは 1 サイズ大きな閉鎖栓が使用された適当群(以下A群)65例について年齢,性別,Qp/Qs,TEEでのASD最大径,BS径とその差,閉鎖栓とASD最大径との差,ASDが 1 つか複数か,心房中隔に菲薄化したり中隔瘤のような所見が認められるかどうかについて検討した.【結果】年齢は,I 群が平均26.7歳,A群24.0歳,性別は I 群M:F3:9,A群21:44,Qp/Qsの平均は I 群2.5,A群2.2,ASD径の平均は I 群15.9mm,A群14.5mm,BSの平均は I 群18.5mm,A群17.5mm,その差の平均は I 群2.7mm,A群3.1mm,閉鎖栓とTEEでの最大径との差は平均 I 群5.1mm,A群3.5mm,ASDの数は I 群が 1 個:2 個以上 7:5,A群47:18,中隔の菲薄化は I 群正常:菲薄化 9:3,A群47:18であった.閉鎖栓と最大径の差のみP.02で,ほかはいずれも統計学的有意差を認めなかった.【結語】閉鎖栓のサイズを決定するために,サイジングバルーンによるストップフロー法が用いられており,その結果はおおむね良好である.しかし,BSが不適当であったと考えられる症例と,その他の症例には,今回検討した項目では差が認められず,精度向上には他の因子を考慮したり,3Dエコーを用いるなど新しい方法が必要と思われた.

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