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心臓カテーテルの反復が必須な乳幼児の腸骨—大腿静脈高度狭窄に対する経カテーテル的再建術:Express® vascular LDステントを用いて
昭和大学横浜市北部病院こどもセンター1),循環器センター2)
西岡 貴弘1),澤田 まどか1),松岡 孝1),曽我 恭司1),黒子 洋介2),伊藤 篤志2),石野 幸三2),山邊 陽子2),富田 英2),上村 茂2)

【背景・目的】乳幼児では中心静脈カテーテルの留置や心臓カテーテル(心カテ)の反復により腸骨‐大腿静脈が閉塞することがある.放置すれば完全閉塞が必至と考えられる腸骨‐大腿静脈の高度狭窄を来した 2 例に対し,ステント留置を行った.本研究の目的は,心カテの反復が必須な小児における本法の有用性を検討することである.【症例 1】1 歳 7 カ月,女児.DORV,non-committed VSD,PAPVC,CCAM(左),肺分画症(左).38週 0 日2,492gにて出生.出生直後ECMO下に左上葉CCAMの切除術を行った.生後 1 カ月時,肺動脈絞扼術,PDA結紮術.動静脈血混合不良による低酸素血症のため,1 歳 5 カ月時とstatic BASによる心房中隔欠損作成術.1 歳 7 カ月時,カテーテルにて心房中隔ステント留置術施行.このとき,腸骨‐大腿静脈の高度狭窄を診断.Sasuga 4mm/2cmにてPTA施行後,Express® vascular LDステント(Express)8mm/27mm,7mm/27mmを留置.留置後はエコーにてステント部位での血流は確認できている.【症例 2】7 カ月,女児.TAPVC(1a)術後,肺静脈狭窄.在胎38週 6 日2,292gにて出生.日齢14心内修復術,その後PVO認め術後46日,狭窄解除術と開窓したゴアテックスパッチで心房中隔を作成.3 カ月時,再狭窄進行し,Expressを左右の肺静脈に留置.このとき,腸骨‐大腿静脈の高度狭窄を診断.Sasuga 6mm/3cmにてPTA施行後Express 7mm/27mm,7mm/17mmを留置.7 カ月時のフォローアップでステント内は狭窄を認めなかったが,ステント間に狭窄があり,ここにExpress 7mm/17mmを追加留置.留置後はエコーにてステント部位での血流は確認できている.【結語】高度狭窄を来した腸骨‐大腿静脈へのExpress留置は,カテーテルを留置するための静脈再建術として,少なくとも短期的には有用と考えられた.

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