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Complete AVSDに対するmodified one patch法に関する早期成績の報告
北海道大学病院循環器外科1),北海道大学医学部小児科2)
橘 剛1),夷岡 徳彦1),村下 十志文1),松居 喜郎1),古川 卓朗2),八鍬 聡2),武田 充人2),上野 倫彦2),村上 智明2)

【目的】complete AVSDに対するmodified one patch法に関して,早期成績を報告する.【対象】2003年 1 月から2007年12月までに当科でcomplete AVSDに対してmodified one patch法による根治手術を行った 7 例.男児 6 例,女児 1 例,手術時月齢6.6±5.8カ月,手術時体重5.9±2.7kg.術前診断はcomplete AVSDのRastelli type A 6 例,type C 1 例で 3 例にPLSVCを合併していた.Down症候群 5 例,polysplenia 1 例.術前共通房室弁逆流はtrivial 3 例,mild 3 例,moderate 1 例で,VSDの高さは7.4±4.1mm(3~15),4 例は肺動脈絞扼術後であった.【結果】手術時間322±25分(286~371),人工心肺時間189±19分(157~212),大動脈遮断時間117±14分(98~131).在院日数30.3±10.7日(15~49),在院死亡なし.術後観察期間は32±17カ月(2~53)で関連合併症,遠隔死亡なし.遠隔期のCTR55.0±3.2%(52~62),BNP 43.3±19.4pg/dl(25.5~79)であった.術後の超音波検査では,左側房室弁逆流は術後none 1 例,trivial 1 例,mild 3 例,moderate 2 例であり 2 例で術前より改善,4 例で術前より増悪しており,房室弁狭窄を示した例はなかった.術前の四腔断で測定したVSDの高さと術後左側房室弁逆流との関連は認めなかった.左室拡張末期径は術前と術後で有意差はなく,大動脈弁‐心尖距離,僧帽弁‐心尖距離も術前と術後で有意差がなかった.術直後のLVOT peak velocityは0.98±0.4m/s(0.4~1.5)で明らかな狭窄はないと考えられ,観察期間内のLVOTOも認めていない.【結語】complete AVSD根治におけるmodified one patch法に関して,VSDの高さは15mm以下,Rastelli分類type A,type Cにおいて適応可能であった.早期成績は良好であったが,左室の予後が不明であるため,現在ではVSDが浅くてpatchが入りにくい例でのみ行っている.

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