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頻発する上室性頻脈に対し開心術と同時にCARTOによるelectro-anatomical mapping法およびアブレーションを施行した 2 例
東京大学医学部附属病院心臓外科1),小児科2),循環器科3)
吉井 剛1),村上 新1),竹内 功1),北堀 和男1),藤崎 正之1),賀藤 均2),香取 竜生2),小野 博2),平田 陽一郎2),安喰 恒輔3),高本 眞一1)

頻拍発作を伴う先天性心疾患(CHD)症例において,解剖学的または体格的な理由からカテーテルによるelectro-anatomical mapping(EA mapping)およびablationが困難なことがある.今回われわれは,PSVTを伴うCHD症例 2 例に対し,開心術施行と同時にCARTOを用いたEA mappingとcryoablationを施行した.【症例 1】4 カ月の男児(BW 4kg).在胎40週 0 日,3,010gにて出生.日齢 3 にて頻呼吸出現し,VSD(II),ASD,MSと診断,日齢13にて肺動脈絞扼術を行った.術前後よりPSVT出現.種々の抗不整脈薬の使用によってもコントロール不良であったため,VSD,ASDの心内修復と同時にEPS,ablationの方針となった.手術ではon pumpにて径30mmのLassoカテを心外より房室間溝に巻き付けるように這わせ,副伝導路を特定.CARTOにて心外より詳細なmappingを行い,同部位にcryoablatonを行った.頻脈発作が誘発されないことを確認した後に,心停止とし心内修復を行った.術後PSVTを再発したが,経口propranololにてコントロール可能であった.【症例 2】14歳の女性.診断はSLV,DILV,IAA,p/s TCPC,p/s lt-AVV closure,p/s BP shunt to dAo bypass.増悪する易疲労感の精査の結果,lt-AVVR 2 度,PA圧22mmHgであり,lt-AVVRによるFontan循環の悪化が原因と考えられた.また,数カ月前より頻脈発作を繰り返しているため,再lt-AVV閉鎖と同時にEPS,ablationの方針とした.手術ではon pumpにてNavisterカテをRAに挿入,CARTOにてmappingを行ったのち,心内修復と同時に,TV-RA切開線間のcryoablationを行った.【まとめ】頻拍発作を伴うCHD症例において,解剖学的または体格的な理由からカテーテル治療が困難な場合,開心術と同時のEA mappingとablationは有用である.

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