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II-S5-1 |
小児循環器医が行うインフォームド・コンセントの実際 |
北海道大学医学部小児科
村上 智明 |
インフォームド・コンセント(以下IC)とは狭い意味では手術や心臓カテーテル検査などの医療行為に関して十分な説明を受け理解(informed)したうえで同意(consent)することを意味するが,その過程では行われる医療行為の背景として疾患の説明から始まり,実際の行為内容・リスク・代替療法・成功率(予後)の説明までが要求され,しかも患者側の理解力や価値観に十分な配慮が必要とされる.すなわち医学知識がない患者・患者家族に対して難解な最新医学知識を自分の意志で合意あるいは拒否できるレベルまで伝達するという高度なコミュニケーション能力が要求される.そしてある意味ではわれわれの言動から立ち居振る舞いに至るまですべてがICの一部であると言っても過言ではない.日本では1997年の医療法改正によりICは医師の責務であると位置付けられている.そして近年では多くの医学部学生に対する臨床実習においてICが組み込まれる一方,ベテラン医師のためのICのテキストが刊行されており実際の医療現場では駆け出しからベテラン医師に至るまで大きな問題となっている.その基本はコミュニケーションスキルであり,異文化コミュニケーションをいかにうまく行うかということが基盤になっている.われわれ小児循環器医のICはさまざまな困難を伴う状況で行われることも少なくない.患者の多くが未成年であり,また十分なinformを行うことのできない救急患者の診療もまれなことではない.さらには輸血を拒絶するエホバの証人の診療なども非常に困難な領域である.こういった場合,われわれのICの目的や方法は状況に応じて大きく変える必要性に迫られる.今回のシンポジウムでは小児循環器医が行っている定型的ないくつかのICについてその問題点を整理していきたい. |
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