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II-S5-4 |
IC(インフォームド・コンセント)って何ですか? |
患者さん
白井 伸代 |
“IC?”そう言われても.病院で「ICをしましょう」とは言われません.「先生の説明があります,ご家族のご都合は?」と聞かれ,時間をやりくりして少しホッとする「アレ」ですか? 一般的な定義と異なり,家族と患者は一致した「説明」を聞きに来て「納得」を求められている認識は薄いかもしれません.患者家族はその場で難しい説明を,想像だけで汲み取ろうと懸命です.それと同時に先生の感情が窺える瞬間や,印象に残る言葉についても敏感になっています.説明のなかで医師が醸し出した,例えるならば安定した雰囲気,といったようなものも受け取ります.それらの漠然とした情報のなかから,患者家族は目の前の「医師」を「信じ」そして「頼る」という「信頼」の素を得て,納得に至るのかもしれません.ですから,「信頼」の素より先にリスクなどを詳細に聞かされることは,説得をされているようで気持ちがついてこないのでしょう.母は今ほどの医療機器がない時代,脈を取ったまま眠っている医師をガラス窓の外から見たと何度も言います.きっとその姿に信頼する気持ちを深めたのでしょう.納得や信頼のあり方は,人それぞれなのかもしれません.本来は,患者家族が早めに漠然とした疑問を言葉で表現できればいいのですが,医師と言葉や考えをキャッチボールできるのだろうかと家族は考えます.せっかく顔を揃えた貴重な時間です.不安と思い込みを含んだまま流されていかないよう,双方がズレを感じたら早めに仕切り直せる仕組みがあるといいですね.今更なのですが「立場や方法が違っても目的は同じです,頑張って力を合わせましょう」そんな当たり前のことを少し表現してはもらえませんか? ちょっと照れますよね.それならば初めて顔を合わせたとき,難しい話をするときではどうですか.私たち患者家族と医師は同じ方向へ進む船に乗っている,家族にはそんなことにさえ気づく余裕がないこともあるようなのです. |
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