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II-B-6 |
ファロー四徴症根治術において,肺動脈弁輪はどこまで温存可能か?—肺動脈弁輪温存術式の適応と遠隔成績 |
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科心臓血管外科1),小児科2),岡山大学病院循環器疾患治療部3)
小谷恭弘1),笠原真悟1),藤井泰宏1),大島 祐1),吉積 功1),大月審一2),赤木禎治3),佐野俊二1) |
【目的】ファロー四徴症に対する根治術において,肺動脈弁輪温存術式の選択は遠隔期における右室流出路狭窄や肺動脈弁逆流,右室不全などに有利とされる.今回われわれは経右房‐経肺動脈アプローチによる根治術後の遠隔成績を分析し,肺動脈弁輪温存術式の選択の妥当性と限界につき考察した.【方法】2007年 7 月までのファロー四徴症根治術224例について検討.手術時年齢は 1~168カ月(中央値18カ月),体重は2.4~39kg(平均9.7kg).50例に先行手術としてBT shunt手術が行われていた.根治術の条件はPA index > 150および左室容積対正常比60%以上とした.心室中隔欠損は経右房的に閉鎖し,右室流出路再建(RVOTR)は,肺動脈弁輪径が正常比80%以下の症例では肺動脈弁輪・右室切開後自己心膜パッチを用い,右室切開が 6mm以上のものについては 1 弁付きパッチを用いた.RVOTR法によりGroup 1:肺動脈形成を伴わないもの,Group 2:肺動脈形成を伴うもの,Group 3:弁なし自己心膜パッチ,Group 4:1 弁付きパッチに分け検討した.【結果】肺動脈弁輪温存は全224例中111例(49%)で可能であった.内訳は肺動脈弁輪温存手術(Group 1:49例,Group 2:62例)111例,弁輪および右室切開を伴うRVOTR113例(Group 3:62例,Group 4:51例)であった.後方視的に検討した術前の肺動脈弁輪径対正常比は,Group 1:105%,Group 2:88%,Group 3:74%,Group 4:72%であった.術後早期死亡はなかったが遠隔期に 1 例を失った.平均93(6~206)カ月の観察期間で再手術は 7 例に認め,全例で肺動脈狭窄が原因であり肺動脈弁逆流に伴う右心不全症例はなかった.3 度以上の肺動脈弁逆流をGroup 1:4%,Group 2:21%,Group 3:47%,Group 4:42%に認めた.【結論】肺動脈弁輪温存のために必要な肺動脈弁輪径は,術後の肺動脈狭窄・逆流からも正常径の80%であると思われた. |
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