II-B-18
先天性心疾患術後に顕在化した気管気管支軟化症に対する外ステント装着術—気道陰圧テストとvirtual bronchoscopyによる評価
聖隷浜松病院心臓血管外科1),小児循環器科2),銀座ハートクリニック3)
小出昌秋1),國井佳文1),渡邊一正1),梅原伸大1),渕上 泰1),武田 紹2),中嶌八隅2),永瀬裕三3)

【背景】気管気管支軟化症は比較的まれな気道疾患であるが先天性心疾患術後に顕在化した場合は管理に難渋する.【目的】心臓手術後に顕在化した気管気管支軟化症に対する外ステント手術とその評価法について報告する.【対象】2007年 5 月から2008年 1 月までに経験した心臓手術後の気管気管支軟化症 4 例でCoA complex 2 例,AVSD 1 例,TOF + absent pulmonary valve 1 例,いずれも心内修復術後または姑息手術後に顕在化して人工呼吸管理を必要とした.手術時年齢は 7~22カ月,手術時体重は4.3~7.5kg.【方法】気管気管支軟化症の診断は臨床症状にて疑い,気管支鏡による陰圧テストにて確定.陰圧テストは全身麻酔気管内挿管下に気道に+20cmH2Oから-20cmH2Oの圧を段階的にかけ気道の断面積を計測し気道の閉塞圧を求めた.MDCTによるvirtual bronchoscopyは全身麻酔,気管内挿管下に16列あるいは64列MDCTを平圧にて撮像し,気管~気管支の内腔像を3D再構築し観察可能とし主に術後の評価に用いた.外ステント手術は右開胸あるいは胸骨正中切開にて気管気管支に到達し,16mm ePTFEリング付き人工血管をトリミングして病変部の軟骨部と膜様部に分けて縫着.【結果】術前陰圧テストによる気道の閉塞圧は-5~-20cmH2Oであった.外ステント装着は 2 例で気管下部 + 左右主気管支,1 例で気管下部 + 左主気管支,1 例で右主気管支 + 上葉枝に行った.術直後の評価で気道閉塞圧はいずれも-40cmH2O以下となった.術後合併症はなく全例人工呼吸器から離脱した.術後行ったvirtual bronchoscopyは特に64列MDCTにて十分な評価が可能であり,いずれの症例でも気道の有効な拡大が観察された.【考察】気管気管支軟化症の評価として気管支鏡による陰圧テストは客観的評価として非常に有用であった.外ステント手術は本疾患に対する治療として有用であり心疾患合併例に対して安全かつ効果的な手術であった.術後評価としてvirtual bronchoscopyは有用であった.

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