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II-B-26 |
外科治療を施行した冠動静脈瘻に対する検討 |
国立循環器病センター心臓血管外科1),小児循環器診療部2)
堂前圭太郎1),鍵崎康治1),萩野生男1),白石修一1),山田 修2),八木原俊克1) |
【目的】冠動静脈瘻(CAVF)は,比較的予後良好な疾患とされているが,fistulaの部位や術式による詳細な予後の検討はされていない.今回,当施設で外科的治療を行ったCAVFにおける,その走行や治療方法・成績について検討する.【対象】1987年以降,外科的治療を行ったCAVF単独症例(合併心疾患を有しない)14例,計21本のCAVFを対象とした.手術時年齢は中央値22歳(4 カ月~64歳),男性 5 例,女性 9 例.主訴は,狭心痛 3,労作時呼吸困難 1,連続性雑音の精査10であった.【結果】CAVFの走行は,RCA-RV/RCA-RA/RCA-PAがそれぞれ 3 例,RCA-LV/LCA-RV/LCA-PA/LCx-RA/LCx-RA/LCx-RVがそれぞれ 2 例であった(起始血管:RCA 11,LCA 6,LCx 4,開口部位:RV 7,RA 7,PA 5,LV 2).術前心臓カテーテル(n = 14)ではQp/Qs(n = 11)が平均1.8(1.0~4.1),RI(n = 12)では灌流低下を 3 例に認めた.手術は,on-pump 9 例(結紮 2,心内や冠動脈瘻内腔からの閉鎖 4,結紮と閉鎖の併用 3),off-pump 5 例(全例結紮).術後平均観察期間は7.3年(11カ月~16年).最新の心エコーでは,LVDd 102% of normal(pre:121%,p = 0.025),LVFS 33.0%(pre:29.9%,p = 0.061)を示し,術前RIで灌流低下を示した 3 例は術後全例で低下(‐).心事故は 3 例(21.4%)に認め,うち再手術 2 例は瘻内腔から閉鎖後に再開通した 1 例(術翌日)と,RCA-PAに対する結紮後の再開通 1 例(術後 8 年).ほかの 1 例は,LAD-RAに対する結紮術後 1 カ月時に血栓形成による前壁中隔MI発症例(抗凝固療法あり).HD(‐),LD(‐).【結語】CAVFの起始・開口部位は多様であった.Fistulaの閉鎖後には,再開通や血栓形成による梗塞の発症の問題もあり,術式の選択や術後抗凝固療法に対する再検討,またfistulaの退縮やその正常血管への侵襲などの遠隔期経過観察の必要性が示唆された. |
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