II-C-9
左室ねじれ様運動(LV torsion)の小児から成人までの加齢に伴う変化—新しい心機能の指標
順天堂大学医学部小児科・思春期科1),Cardiology Division,Pediatric Department2), Department of Biomedical Engineering,University of Alberta,Canada3)
高橋 健1,2),秋元かつみ1),稀代雅彦1),清水俊明1),アルナーミ・ガッサン2),稲毛章郎2),トンプソン・リチャード3),スモールホン・ジェフリー2)

【背景】左室のねじれ様運動(LV torsion)およびねじれの戻り運動(LV untwisting)は,エコーで測定し得る収縮,拡張機能として,従来の方法より鋭敏で,心負荷に影響され難い新しい左心機能の指標として注目されている.しかし小児を含めた年齢に伴う変化についての報告は少ない.【目的】小児から成人までLV torsionの変化を検討する.【対象】心疾患のない小児および成人108人(3~40歳,平均19.3歳,小児56例,成人52例,男:女 = 66:42).【方法】左室短軸像心基部および心尖部にて,Vivid 7とEchoPac(GE社製)を用いspeckle tracking法により最大左室回転角度(LV rot),最大左室回転速度(LV rot rate),最大左室回転戻り速度(LV rec rate)を測定した.独自に開発したプログラムを用い,収縮期時間および左室長により補正した後,心尖部と心基部の相違によりLV torsion最大角度(LV tor),LV torsion最大速度(LV tor rate),LV untwisting最大速度(LV unt rate)を求めた.【結果】LV torおよびLV rotは一定に保たれた.収縮能の指標としてLV tor rateおよび心尖部と心基部のLV rot rate,拡張能の指標としてLV rec rate,LV unt rateは加齢とともに減少した.年少児の心臓は,拡張期早期により多くのLV untwistingを示した.これらの結果は年齢と統計学的に有意に相関し, 2 次関数的に減少した.【結論】今回の検討では最大LV torsion rateおよびLV untwisting rate,拡張早期のLV untwisting量は小児を含め年齢に相関して 2 次関数的に減少した.年齢の増加とともに各パラメータが減少することは心筋complianceや心筋の発達などが関与している可能性がある.

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