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II-C-11 |
心機能障害における脳血流動態 |
はらだ小児科医院
原田健二 |
【目的】脳循環は心拍出量と密接な関係にあるが,心機能が脳血流に及ぼす影響に関しての知見は乏しい.最近のエコー診断装置の進歩により,経頭蓋的に脳血管血流が評価できるようになった.本研究目的は心機能と脳血管血流速度波形の関係を明らかにすること.【方法】対象はBNP増加と心機能低下のある心疾患患者10例(年齢11±5 歳,肥大型心筋症,拡張型心筋症,先天性心疾患術後)と同年齢の正常小児39例.アロカSSD-6500を用いて,経頭蓋的に側頭骨ウインドウから中大脳動脈の血流信号を検出した後,パルスドプラ法を用いて血流速度波形を記録.収縮期最大血流速度(PSV),拡張末期血流速度(DV),平均血流速度(APV),収縮期および拡張期血流速度時間積分値(S-FVIおよびD-FVI)を計測.これらからpulsatile index(PI)=(PSV-DV)/APVを算出した.組織ドプラ法を用いて左室後壁の壁運動速度波形を記録し,Tei indexを算出した.【成績】心機能低下群のBNPは455±366pg/mlと高値で,Tei indexも0.62±0.05(0.53~0.97)で対照(0.40±0.05)に比し有意に高値であった.正常に比し心機能低下群における中大脳動脈収縮期最大血流速度は有意に高値(140±20 vs 124±20cm/s,p < 0.05)であったが,中大脳動脈平均血流速度および拡張期血流速度は正常と有意差を認めなかった.pulsatile indexは心機能低下群で有意に高値(1.22±0.18 vs 0.96±0.20,p < 0.01)であった.pulsatile indexはTei indexと弱いが有意な相関を認めた(r = 0.53,p < 0.05).【結論】本研究は心機能が脳血流動態に影響を及ぼすことを明らかにした.心機能が低下した患者における中大脳動脈のpulsatile indexの高値は測定部より末梢での血管抵抗が増大していることを意味しており,心不全における脳血流評価は意義がある. |
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