II-D-1
新生児先天性心疾患に対するdual-source CTの有用性の検討
国立循環器病センター小児循環器診療部1),放射線診療部2)
松尾 倫1),神崎 歩2),山本雅樹1),面家健太郎1),平田拓也1),黒嵜健一1),山田 修1),内藤博昭2)

【目的】dual-sourceCT(DSCT)は83msecの優れた時間分解能を有し,高心拍数への適応,検査時間の短縮が期待される.新生児期に手術を要した先天性心疾患の術前形態評価として施行した症例についてその有用性を検討した.【方法】対象は心エコーにて先天性心疾患と診断され,術前にdual-sourceシステムを用いて心電図同期CTを施行した新生児 4 例(右側相同 2 例,完全大血管転位 1 例,ファロー四徴症 1 例).検査時日齢 2~13(平均 7),体重1.9~3.3kg(平均2.6kg).おもな形態は共通房室弁口 3 例,僧帽弁閉鎖 1 例,大血管転位 2 例,大動脈縮窄 2 例,動脈管開存 3 例,肺静脈環流異常 2 例(重複あり).機器はSOMATOM Definition(Siemens)を使用し,造影剤はヨード造影剤を約2.0ml/kg使用.1 例は挿管管理中(筋弛緩剤使用)で,3 例はトリクロリールシロップにより鎮静した.検査中の心拍数136~152bpm(平均144bpm)で,撮像時間は3.13~9.4秒(平均4.9秒)だった.再構成された画像より,心室,大血管の形態,冠動脈について心エコー,術後診断の結果と対比して検討した.【成績】全例でトラブルなく検査できた.3 例は良好な3D画像が取得できた.1 例は体動が強く体軸方向の連続性および造影効果が悪かったが,横断像での診断は可能だった.全例で心室の解剖学的特徴を同定でき,共通房室弁口や僧帽弁閉鎖の診断が可能だった.大血管の形態/位置,大動脈縮窄,右側大動脈弓,動脈管開存,異所性鎖骨下動脈起始,また肺静脈還流異常や狭窄などの形態的評価が可能だった.完全大血管転位 1 例ではCTによって冠動脈走行のshaher分類を診断でき,術中に確定診断された.【結論】DSCTは新生児期先天性心疾患の術前形態評価に対して有用であると考える.

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