II-D-2 |
先天性心疾患の診断・評価における3D画像作成のメリット |
KKR立川病院小児科1),北里大学医学部小児科2)
堀口泰典1),木村純人2),中畑弥生2),安藤 寿2),石井正浩2) |
【背景】小児循環器領域においてCT,MRI,心エコー図などを用いた画像診断の分野で3D画像が用いられる機会が増加した.【目的】CTを用いた画像診断における3D画像作成のメリットを検討し明らかにする.【方法】心房中隔欠損11例,部分肺静脈還流異常(PAPVR)1 例,大動脈縮搾等大動脈疾患12例,ファロー四徴MAPCA 1 例において術前にCT検査(電子ビームCT,MDCT)を実施しその二次元画像〔2D(軸位断,矢状断)〕と3D画像による診断精度の相違につき検討した.【結果】以下の点で 3Dは 2Dより優れていた.(1)ASDの欠損孔の形態評価(2Dでは欠損の正確な形態診断が困難),(2)ASDのリムの評価(2Dでは特に心房前壁,後壁の評価が困難),(3)PAPVRの確定診断(2Dでは上代静脈に合流する肺静脈の特定が困難),(4)大動脈縮搾,大動脈全体の形態(2D軸位断では診断困難.矢状断再構築で診断可能),(5)MAPCA(血管の走行を2Dでは特定困難).【考案】3Dでは特に血管系の診断において2Dよりも優れていたが,心内構造においても画像作成方法を工夫することにより病変を立体視することが可能である.MDCTでは被曝量を減じる必要があるが,その点電子ビームCT方式は画像の精緻さについては劣るが,少ない被曝で臨床上十分有用な画像を得ることが可能である.10分の 1 ミリ単位の精緻な画像は小児先天性心疾患の分野では必要ない.【結論】3D診断は2Dより明らかに有用であるがCTの場合被曝量軽減のためにも不必要な精緻さを追求する必要はない. |
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