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マルチスライスCTによる左心低形成のpulmonary-ductus descending aorta trunk(PDDT)の三次元画像診断—ステント留置への補助的診断手技の可能性 |
京都府立医科大学大学院医学研究科小児循環器・腎臓病学1),小児心臓血管外科2)
白石 公1),小林奈歩1),河井容子1),加藤竜一1),問山健太郎1),佐藤 恒1),小澤誠一郎1),糸井利幸1),宮崎隆子2),山岸正明2),浜岡建城1) |
【方法】近年,左心低形成症候群(HLHS)の初期治療として両側肺動脈絞扼術とPDDTのステント留置が選択肢の一つとなりつつある.ところがHLHSにおけるPDDTの長さや形態には個人差が多く,断層心エコーや血管造影による二次元診断では評価が困難なことが多い.そこで今回MDCTより得られた三次元画像をもとに,HLHSにおけるPDDTの形態および角度についてIAAにおけるPDDTと比較検討した.【対象と方法】過去10年間に行った885回のヘリカルCT 三次元画像構築のなかから,解析が可能であったHLHS 13例とIAA 13例の上行大動脈,肺動脈,PDDT,下行大動脈の形態と角度を評価した.HLHS 1 例とIAA 1 例の新生児画像データから光造形による樹脂模型を作製して模擬治療の可能性を検討した.【結果】HLHSにおけるPDDTの形態は 2 群に分けられ,(1)膨大群(+)群では(n = 7),PDDTは左方へ20度以上傾きかつ膨大(左方へ32.1±14.7度)し,(2)膨大(‐)群では(n = 6),明らかな膨大はなく(右方へ2.50±4.18度),PDDTは垂直に下降大動脈に連続していた.HLHS全例でのPDDTの平均角度は16.2±20.9であった.PDDTと下行大動脈との角度は,膨大(+)群では41.1±10.4,膨大(‐)群ではでは28.5±9.0であった(p < 0.05).一方IAAでは13例中12例でPDDTは垂直に下行大動脈に連続し,IAAでのPDDTの平均角度は1.54±5.5であった(p < 0.05 vs HLHS).また上行大動脈の右方への変位角度は,HLHSで16.1±14.8,IAAで1.31±12.5(p < 0.05)であった.作製した光造形モデルでは,PDDTの形態,長さ,角度をより正確に理解でき,模擬的なステント挿入を行うこともできた.【結語】HLHSにおけるPDDTは左へ屈曲膨大するものとIAAと類似して垂直に下降するタイプが存在する.これらのvariationは断層心エコーや血管造影では判断しにくく,MDCTを用いた三次元画像診断によってその形態,角度,全長を明らかにしたうえで治療に臨むことが必要と考えられた. |
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