II-D-4 |
先天性心疾患におけるマルチスライスCTによる3D診断の有用性 |
大阪市立総合医療センター小児循環器内科1),小児心臓血管外科2)
江原英治1),村上洋介1),保田典子1),小澤有希1),鈴木嗣敏1),小澤秀登2),川平洋一2),西垣恭一2) |
【背景と目的】マルチスライスCT(MDCT)は短時間に大量の画像情報が得られ,三次元画像構築も可能で,近年先天性心疾患の診断・治療方針決定に広く用いられてきている.MDCTによる三次元画像診断(3D診断)を行った先天性心疾患症例を検討し,その有用性と問題点を検討した.【対象と方法】対象は2003年 3 月~2007年12月に当院においてMDCTによる3D診断を行った先天性心疾患症例89例で,延べ111回の検査を行った.検査時年齢は 0 日~36歳(平均 1 歳 4 カ月,中央値 4 カ月)であった.8 列または64列MDCT(東芝Aquilion)を使用.造影剤(イオパミロン300)は 2ml/kgを用手的に注入し,撮影を行った.【結果】(1)撮影目的部位(重複を含む)は肺動脈34回,肺静脈25回,大動脈弓27回,気道13回,その他17回であった.2 例(心臓腫瘍とBWG症候群各 1 例)を除き目的とした部位の評価が可能であった.(2)MDCTのみで手術を行ったのは35例(BTシャント11例,TAPVD 10例,CoA・IAA 14例)で,全例術前診断は正確であった.(3)MDCT検査後24時間以内に緊急手術を行ったのは21例〔BTシャント 4 例,TAPVD(3)6 例,CoA・IAA 11例〕.死亡は 3 例,全例TAPVD(3)でうち 2 例はaspleniaの症例であった.(4)気道の評価(気管・気管支の狭窄や肺野の評価)や複雑心奇形の三次元的形態評価も可能であった.【結論】先天性心疾患症例において,3D診断を含めたMDCT検査は有用であった.特に血管の形態評価が主な症例においては十分な術前検査となり得る.侵襲が少なく,状態悪化時や緊急手術例にも対応できた.正確な血管径の測定,被曝への配慮などについて今後の検討を要する. |
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