II-D-5 |
Multidetector-row CT(MDCT)によるチアノーゼ性先天性心疾患乳幼児症例における肺動脈径の計測 |
徳島大学大学院小児医学分野1),循環機能制御外科分野2)
早渕康信1),井上美紀1),渡辺典子1),北市 隆2),北川哲也2),香美祥二1) |
【背景】肺血流量減少を来すチアノーゼ性先天性心疾患症例において,肺動脈の形態・計測を正確に把握することは,術前診断や経過観察において極めて重要である.MDCTは,小児科領域においても複雑心奇形などの診断に有用であるとの報告は散見されるが,心室容積や血管径などの定量的検討は少なく,肺動脈の形態や血管径の計測に関して検討した報告はない.【目的】MDCTによるチアノーゼ性先天性心疾患乳幼児症例の肺動脈形態・血管径の測定の正確性について検討する.【方法】対象は,肺血流量減少性先天性心疾患症例44例(年齢 0~30カ月;11±4 カ月)であり,Toshiba Aquillion 16を用いて,延べ60回の記録を行った.計測項目は,肺動脈弁輪径・左右肺動脈径および30%以上の肺動脈狭窄の有無の判定とその部の径を検討した.また,MDCT撮影後に施行したカテーテル検査時の血管造影をgold standardとし,計測値を比較検討した.【結果】左右肺動脈径計測において,MDCTによる計測は,血管造影と極めて良好な有意な相関(r2 = 0.85および0.82;p < 0.0001)を認めたが,MDCTでは,やや過大評価する傾向があった(bias 0.38±0.49mmおよび0.28±0.54mm).肺動脈弁輪径においても有意な相関(r2 = 0.48;p < 0.0001)が認められた.血管造影で確認された16カ所の肺動脈狭窄部位のうち15カ所はMDCTで診断することが可能であり,狭窄部径も強い相関が得られた(r2 = 0.82;p < 0.001).【結語】MDCTは,チアノーゼ性先天性心疾患乳幼児症例における肺動脈の形態的診断・血管径計測において,血管造影検査結果と良好な相関が得られた.先天性心疾患症例における術前評価や肺動脈の成長および狭窄の変化に関する経過観察に対する有用性が示唆された. |
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