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II-D-11 |
ダウン症に合併した心室中隔欠損の手術時期 |
静岡県立こども病院循環器科1),心臓血管外科2)
北村則子1),増本健一1),早田 航1),古田千左子1),金 成海1),満下紀恵1),新居正基1),田中靖彦1),小野安生1),坂本喜三郎2) |
【背景】ダウン症の肺血管閉塞性病変の進展が早いことが知られており,肺高血圧を伴う左右短絡疾患では注意が必要である.近年,低体重での手術成績の向上,肺高血圧治療の進歩に伴い,当院ではダウン症に合併する先天性心疾患の治療時期が早まっている.時代の変遷を踏まえダウン症児心室中隔欠損(VSD)の手術至適時期を検討する.【方法】1996年以降にダウン症で手術治療を要したVSD(69例)の検査・手術時期,治療,予後を検討した.【結果】1996年以前の平均手術時月齢が17±7.5月であるのに比し,96年以後は4.6±4.8月(p < 0.001)と手術の低年齢化が進んだ時期である.初回手術は63例(91%)が根治術であった.術前にカテーテル検査を行った56例中,3 カ月以内に行った37例(66%)で平均肺血管抵抗(Rp)U.m2は4.1±2.1,3~6 カ月で行った10例(18%)で5.6±2.7,6 カ月以上 9 例(14%)で6.2±2.9となり,3 カ月未満ではそれ以降に比して有意に低値であった(p = 0.012).おおむねRp5U.m2以上の例に術前術後に持続的酸素,PGI2を投与した.遠隔期に10例(90%)で肺高血圧改善により中止できたが,1 例は気管切開を継続,1 例死亡となった.【結語】手術時期を乳児期早期としたことによる合併症は認めず,肺血管抵抗の進展の面からは生後 6 カ月以内,できれば 3 カ月以内の根治術が望ましい.一部に新生児期より強い肺高血圧を呈する例も存在し,肺血管抵抗測定などを目安に酸素投与やPGI2を積極的に導入することが予後向上につながると思われた. |
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