II-D-14 |
Down症候群のFontan candidateにおける肺組織病理検査の重要性 |
聖隷浜松病院心臓血管外科1),小児循環器科2),日本肺血管研究所3)
渡邊一正1),小出昌秋1),國井佳文1),梅原伸大1),渕上 泰1),武田 紹2),中嶌八隅2),八巻重雄3) |
【はじめに】Down症候群は早期の肺血管閉塞病変の進行による高肺血管抵抗の症例が多くFontan手術の適応の判断は難しい.今回われわれは肺組織病理検査に基づいてFontan手術適応を検討した症例を 3 例経験したので報告する.【方法】2005年 1 月から2007年12月までにDown症候群のFontan candidateの 3 例に対してBCPS後に肺生検を行った.肺組織病理学的診断は日本肺血管研究所の八巻重雄先生に依頼した.【結果】症例 1:女児,cAVSD,small RV.1m PAB,1y BCPS,1y5m 肺生検を行った.肺病理組織から予測された術後臨床経過区分はA(問題なくFontan可能)であった.術前心カテデータではRp 2.0Unit・m2で2y10m Fontan手術を行った.術後はeffusionのコントロールに難渋したがその後経過は順調であった.症例 2:男児,cAVSD,small RV.8m PAB,2y3m BCPS + 肺生検を行った.肺病理組織では肺小動脈の中膜肥厚の退縮が不十分で予測術後臨床経過区分はD(Fontan手術後病院死亡または遠隔死亡)でありボセンタンの内服を開始した.3y2m時の心カテでRp 4.4Unit・m2であったがボセンタン内服でSpO2が改善したことからFontan手術に踏み切った.しかし術後高度LOSと低酸素血症を呈し補助循環を要し7PODにtake-downした.症例 3:男児,DOLV,PS,cAVSD,non-confluent PA,small RV.1m lt B-T shunt,1y2m PA angioplasty,2y5m BCPS,3y 肺生検を行った.肺病理組織では肺小動脈の中膜肥厚の退縮が不十分で肺静脈にも中膜の肥厚がみられ予測された術後臨床経過区分はDであったためボセンタンの内服を開始した.その後左肺動脈の閉塞をきたしFontan手術は適応外と判断した.【考察】Fontan手術を行った 2 例の臨床経過は肺組織病理診断のとおりでありこの疾患群における肺生検の重要性が示され,より早期からの手術介入やHOT,薬物療法が重要であると考えられた. |
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