II-E-14
肥大型心筋症における心電図変化と心内膜側・心外膜側strain imagingの検討
東京医科歯科大学附属病院発生発達病態学小児科学講座1),曙町クリニック2)
大西優子1),土井庄三郎1),佐々木章人1),泉田直己2)

【背景】肥大型心筋症(HCM)では心内膜側より心筋血流や冠予備能の低下が報告されている.【目的】HCMにおける心内膜側(End),心外膜側心筋(Epi)のradial strain imaging(ε)を検討し,心電図でのST-T変化との関係を検討すること.【方法】対象はHCM患者 3 例(16,17,23歳),健常小児CTR 7 例(5.5±6.3歳).speckle tracking法を用いて左室乳頭筋レベル短軸像における左室壁のεを検討した.【結果】HCM群では正常群と比較して肥大部位の最大εが低値であった(HCMεvs CTRε:9.1±1.5,19.3±12.8).非肥大部位では逆に最大εは高値であった(HCMεvs CTRε:30.3±1.8,21.7±7.9).HCM各症例では肥大様式,心筋の障害程度によりEnd,Epiのεは異なった.症例 1 は17歳男児,HOCM(maron type II)NYHA III.IVSd/PWd = 3.2.心電図ではV3~V6のST低下を認めた.肥大部位のεは内外ともに低値で,Endは負のεを呈した(ENDεvs EPIε:-0.4:3.4).症例 2 は16歳女児.HOCM(type I) NYHA I.IVSd/PWd = 2.0.心電図ではST-T変化を認めない.肥大部位のεはEndが低値であった(ENDεvs EPIε:4.3:2.5).症例 3 は23歳男性.HCM(type II) NYHA I.IVSd/PWd = 3.8.心電図ではV4~V6のST低下を認めた.肥大部位のεはEpiが低値であった(ENDεvs EPIε:5.9:2.3).【結論】HCMでは虚血心でみられるように肥大部位のストレイン値の低下を対側の心筋が代償していた.心電図でのST-T変化は,内・外膜側心筋ストレインの変化のみでは説明できず,他の因子の関与も考えられた.

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