P-128
小児循環器遠隔医療における新生児心疾患児の救急搬送の役割
倉敷中央病院小児科1),総合周産期母子医療センターNICU2)
脇 研自1),福島 雅子1),柴田 敬1),豊田 直樹1),原 茂登1),新垣 義夫1),馬場 清1),渡部 晋一2),西田 吉伸2)

【背景】当院は総合周産期母子医療センターに指定されており,半径150km以内の紹介医療機関まで救急車で出向き当院まで搬送,診断・治療・術前管理を行っている.また手術適応症例は大学病院と連携をとり術前・術後に約30分かけて救急搬送を行っている.【目的】当院の新生児心疾患児搬送の小児循環器遠隔医療における役割について検討する.【対象および方法】1998年 1 月から2007年12月までの10年間に当院NICUに入院した心疾患を伴う新生児423例.疾患の内訳はVSD 98例,CoA/IAAcomplex 41例,UVH 31例,TOF 30例,HLHS 29例,TAPVC 27例,TGA 25例,PA・VSD 22例,PA /IVS 18例,CAVC 18例,DORV 12例,PDA 11例,Ebstein 6 例,TA 6 例,Truncus 5 例,その他44例.新生児心疾患搬送状況,手術施行症例の搬送数,当院帰院時の術後日数・状況,死亡症例,死亡率について後方視的に検討を行った.【結果】(1)紹介施設からの心疾患新生児搬送は全423例中316件で,市内から96件(30.4%),県内54件(17.1%),県外から166件(52.9%)と県外が半数以上を占めていた.(2)手術症例の術前・術後搬送;総数168例で,術前・術後の搬送はのべ396件であった.当院へ帰院した術後日数は,術当日(日帰り)が 3 例(1.8%),術後 3 日以内が54例(32.1%),7 日以内が117例(69.6%)と約 7 割が 1 週間以内であった.帰院時に気管内挿管中の症例は42例(25.0%)でその後呼吸器からの離脱を行った.(3)全死亡数は32例(7.6%)で予後不良の染色体異常や肺低形成など心臓外因子による死亡17例を除いた心臓関連死は15例(3.5%)であった.搬送に際しては十分な鎮静を心がけ,搬送による状態悪化や死亡例はなかった.【考察】周辺医療機関,手術施行病院とのスムーズな連携により新生児心疾患の管理や治療において成果を得ることができた.

閉じる