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重症気管・気管支病変を合併した先天性心疾患への気管ステント留置術
大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科1),心臓血管外科2)
前川 周1),稲村 昇1),萱谷 太1),那須野 明香1),河津 由紀子1),濱道 裕二1),齊藤 哲也2),石丸 和彦2),盤井 成光2),川田 博昭2),岸本 英文2)

【背景】重症気管病変を合併する先天性心疾患CHDの治療成績は不良である.【目的】当科で経験した気管ステント留置術(S術)の成績・問題点を後方視的に検討する.【対象】長期間重篤な呼吸および循環器症状を呈しS術を施行したCHD児 3 例.【症例 1】PV absence,VSD,TGA.左右気管支狭窄.生直後より重篤な換気不全があった.2 日に両側PA縫縮術を行い人工呼吸で対応できるまでに改善した.4 カ月,右気管支に外S術(リング付きGoretex)を行ったが抜管できず.5 カ月にBCPS,PABを行い抜管.しかし,退院後左無気肺を繰り返し,13カ月,左気管支に外S術を追加した.現在,気管切開で在宅人工呼吸管理中である.【症例 2】CAVC,DORV,PA.食道閉鎖術後の気管軟化症.日齢 4 に食道閉鎖根治術を行ったが気管軟化症で心肺停止を繰り返した.肺血流を調節するために 1 カ月に右BTシャント術とaortopexyを施行したが改善しなかった.4 カ月,気管に内S術(Palmaz)を行い症状はなくなった.2 歳 8 カ月時にBCPSを行った.現在,10歳であるが成長によるステントの再狭窄が問題となりFontanに至っていない.【症例 3】TAPVC(Ia).左肺無形成,口唇口蓋裂,気管狭窄.1 カ月でTAPVCを修復し,良好な術後経過であった.4 カ月,口唇形成術後より呼吸不全による入院を繰り返し,PVOが再発.9 カ月にPVO解除術を行い,その後気管切開を行ったが効果はなかった.10カ月,気管に内S術(Dumon)を行い症状の改善を得た.しかし,ステントが移動し気管狭窄症状が再燃,13カ月にその内側にPalmazステントを挿入.呼吸状態は著明に改善,現在 4 歳,PHもなく外来通院中.【まとめ】重篤な気管病変を合併するCHDにステント留置を行い呼吸器症状の著明な改善と循環動態の改善が得られた.しかし,気管病変は完治できていない.特にFontan candidateは気管ステント後も心臓手術を残しており今後の検討課題である.

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