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気管支狭窄症に対するリング付きePTFE人工血管を用いた外ステント術の経験
福岡市立こども病院心臓血管外科
角 秀秋,中野 俊秀,檜山 和弘,梶本 政樹,櫻井 寛久

【目的】リング付き人工血管を用いた外ステント術の早期成績を検討した.【対象と方法】2007年 1 月より先天性心疾患に合併した気管支狭窄症で抜管困難となった 3 例を対象とした.診断には気管支ファイバー,3DCTを用いた.手術は,まずリング付きePTFE人工血管を狭窄部の長さに切断し,さらに長軸方向に切開を加え2/3~3/4周にトリミングしステント作成.狭窄部気管支の軟骨部に 3 カ所ずつproleneをかけ,ステントのリングをまたぐように人工血管を貫通,結紮し狭窄解除した.装着前後で気管支ファイバーにて開存性を確認した.【結果】〈症例 1〉6 カ月男児.両大血管右室起始症,肺動脈狭窄症に対し,2 カ月時に肺動脈絞扼術,大動脈吊り上げ術施行したが抜管困難.拍動性圧排の軽度残存と気管支軟化症の合併が考えられた.外ステント術,および左肺動脈絞扼術施行し 2 日後に抜管.特に問題なく術後 8 カ月経過.【症例 2】1 歳女児.修正大血管転位症,肺動脈狭窄症,動脈管開存症に対し生後 1 カ月に右BTシャントおよび動脈管閉鎖術施行.生後 4 カ月より喘息症状あるも改善せず.肺血流軽減目的に両方向性グレン手術を外ステント術と同時に施行した.当日抜管可能,術後 8 カ月経過したが,気道トラブルなし.【症例 3】9 カ月男児.総動脈幹症,大動脈離断症に対して生後 7 日目に大動脈弓再建術,両側肺動脈絞扼術施行.9 カ月時にラステリ手術,肺動脈形成術施行.抜管後,呼吸状態悪化し再挿管.術後20日目に外ステント術施行し13日目に抜管.術後 4 カ月で良好に経過している.【考察】心疾患に合併する気管支狭窄は,周囲構造物による圧排と気管支軟化症の両者が関与している可能性がある.当院では圧排の可能性があるものは外科的に圧排解除し,さらに同時に外ステント術を施行する方針で手術を行い良好な成績を得た.しかし,人工物を用いた術式であり成長に対する十分な経過観察が必要と考えられる.

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