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外科手術を必要とした先天性心疾患合併気管・気管支軟化症の検討
岐阜県総合医療センター小児循環器科1),小児心臓外科2),松戸市立病院新生児科3),銀座ハートクリニック4)
桑原 直樹1),坂口 平馬1),後藤 浩子1),桑原 尚志1),渡辺 成仁2),八島 正文2),竹内 敬昌2),長谷川 久弥3),永瀬 裕三4)

【背景】気管および気管支軟化症は気道が脆弱なため呼気時に気道内腔を保持できないために生じる閉塞性気道病変である.原因として膜性部比率の増加や外部からの圧迫があり,先天性心疾患を合併することも少なくない.【対象】2001年から2007年までに外科手術を必要とした先天性心疾患合併気管・気管支軟化症 8 例について後方視的に検討した.【結果】男:6,女:2.生後 5 日~11カ月(平均4.4カ月).軟化症の診断および術中の効果判定は気管支ファイバースコープとCT検査を施行した.心疾患の内訳はvascular sling + 腕頭動脈起始異常が 1 例,PDAが 3 例(1 例はASDを合併),VSDが 1 例,TOF + PV absenceが 1 例,IAAが 2 例(1 例はAP windowを合併)であった.術後に診断が確定したPDA 1 例とIAA 2 例を除く 5 例(うち 4 例は人工心肺を使用)は先天性心疾患と軟化症に対する外科手術を同時に施行した.手術は腕頭動脈の吊り上げ術を 1 例,aortopexyを 6 例(1 例は肺動脈の吊り上げ術も追加),軟化症が主気管支から左気管支に及んだ症例とaortopexyが無効であった症例に対し外ステント術を施行した.手術死亡なし.全例人工呼吸器からの離脱は可能で術前に比べ呼吸状態は改善した.【結語】先天性心疾患を合併した軟化症の場合,長期の保存療法が困難であること,心疾患修復により原因が除去される可能性があること,手術侵襲により軟化症が悪化することより,積極的に外科手術が選択されている.病変が限局していれば吊り上げ術は有効であるが,広範囲の場合や気道そのものに病変がある場合は不十分であり,肺外気管支に病変が限局していれば外ステント術は有効な治療法と考えられる.治療方針の選択には,先天性心疾患修復術前と術中の軟化症の正確な部位診断が重要である.

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