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修正大血管転位15例
和歌山県立医科大学小児科1),第一外科2),紀南病院小児科3)
武内 崇1),末永 智浩1),渋田 昌一1),鈴木 啓之1),吉川 徳茂1),久岡 崇宏2),平松 健司2),岡村 吉隆2),南 孝臣3)

【目的】修正大血管転位(c-TGA)は施設により手術方法が異なる.和歌山医大小児科で経過観察中の15例について選択した手術方法(非手術症例も含む)と三尖弁閉鎖不全(TR)の程度を検討すること.【方法】症例は15例.生後 1 カ月で手術死亡した 1 例を除くと年齢は 1 歳 8 カ月から28歳 4 カ月.症例を手術未施行群(non-ope群)5 例,機能的修復術群(CR群)4 例,double switch術群(DS群)3 例,グレン術またはTCPC術群(TCPC群)3 例に分類した.c-TGA以外の合併奇形を有する症例の手術方法の選択は,初期の症例ではCRを選択し,最近の症例でDS可能と判断した症例はDSを選択した.TRの程度はtrivial,mild,mild to mod,mod,massiveの 5 段階に分類した.trivialはカラードプラでわずかに検出する逆流.mildははっきりと検出する逆流,modは明らかに心房の拡大を伴う程度の逆流.massiveは非常に大量の逆流.mildとmodの中間程度の逆流をmild to modと定義した.各群でTRの程度を検討した.【成績】non-ope群 5 例(11~22歳)は全例c-TGA以外の合併心奇形なく,trivial 1 例,mild to mod 2 例,mod 2 例.CR群 4 例中 2 例にTVR施行(生後 1 カ月と 7 歳)したが術前のTRは 2 例ともmassiveであった.TVR非施行例 2 例(10,28歳)はtrivialとmild.DS群 3 例(1~12歳)はtrivial 1 例,mild 1 例,mild to mod 1 例.TCPC群 3 例(2~8 歳)はtrivial 1 例,mild 1 例,mod 1 例であった.【結論】右室を主心室とする症例(non-ope群とCR群)9 例中,massive TRとなりTVRを施行した 2 例を含む 6 例(67%)にmild to mod以上のTRを認め,将来的に三尖弁修復手術を必要とする可能性が高いと思われた.DS群とTCPC群 6 例中mild to mod以上の逆流は 2 例(33%)のみであるが,対象症例の年齢が小さく今後の経過観察が必要で,c-TGAの手術法の選択についてはこれらの症例の経過を参考に決定すべきであると思われる.

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