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房室中隔欠損症に合併したpseudocoarctation(kinking of aorta)の 1 例
太田西ノ内病院小児科1),東京大学医学部附属病院小児科2)
佐々木 元1),香取 竜生2),平田 陽一郎2),豊田 彰史2),小野 博2),中村 嘉宏2),賀藤 均2)

【症例】1 歳 7 カ月の男児.在胎40週 0 日で経膣分娩にて出生(出生時体重2,790g)した.仮死はなかったが,出生当日に心雑音に気付かれ,unbalanced AVSD(hypoplastic LV,Rastelli A型)と診断された.他院にて,生後 1 カ月で肺動脈絞扼術,生後10カ月で両側性Glenn手術を施行された.その後の治療目的にて 1 歳 6 カ月時に当院へ紹介された.前医では大動脈異常には気付かれていなかった.合併症として左側停留睾丸,左眼瞼下垂がある.1 歳 7 カ月時に心臓カテーテル検査目的で入院となった.入院時の心エコーでは(S.D.N),unbalanced AVSD(Rastelli A),AVVR 1 度,subvulvular AS(PG:20mmHg),PG due to PAB:70mmHgだった.心臓カテーテル検査では,カテーテルが胸部大動脈を逆行性に進めることができなかった.そこで,左室造影を施行したところ,pseudocoarctation(kinking of aorta)を認めた.左室から上げたカテーテルによる上行大動脈圧は80/39(48)mmHg,kinking部の遠位胸部大動脈圧は67/32(48)mmHgとkinking部で圧差を収縮期血圧で13mmHg認めた.【考察】成因は,動脈管の収縮に伴う短縮によって,大動脈が前へ牽引された可能性がいわれている(発達心臓病学改訂 3 版).われわれが調べたかぎりでは,先天性心疾患に合併したkinking of aortaの報告例は非常にまれであるが,Turner症候群合併例の報告も数例あったのみである.成人期には動脈瘤を形成する可能性もあるという.本症例での三次元CT画像を呈示し,文献的考察を加えて報告する.

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