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部分肺静脈還流異常を合併した総動脈幹遺残
茅ヶ崎市立病院小児科1),東京大学医学部小児科2),心臓外科3)
鶴岡 美幸1),小野 博2),平田 陽一郎2),豊田 彰史2),中村 嘉宏2),香取 竜生2),賀藤 均2),村上 新3)

総動脈幹遺残(PTA)に部分肺静脈還流異常(PAPVC)を合併したまれな 2 例を経験したので,報告する.【症例 1】女児.診断:PTA(I),総動脈幹弁逆流,PAPVC.近医で出生し,当院搬送入院した.PTA(I)の診断で,両側肺動脈絞扼術(B-PAB)を施行した.生後 3 カ月の心カテーテル検査で,右上肺静脈が腕頭静脈に還流しているのを確認した.生後 6 カ月で心内修復術,Rastelli,総動脈幹弁人工弁置換術,左上肺静脈‐左房吻合術を施行した.【症例 2】男児.診断:PTA(I),左上大静脈遺残,PAPVC.胎児診断されていた児.生後PAPVC(左上肺静脈が左上大静脈に還流)の合併を心エコーで確認した.bridging veinが存在しており,日齢 5 にB-PAB,左上大静脈結紮術を施行した.【考案】部分肺静脈還流異常は胎生早期に共通肺静脈の一部が閉鎖し,体静脈系との交通を残すために生じるといわれている.総動脈幹遺残は大動脈と肺動脈に分割する際の異常である.この両者の合併は非常にまれである.症例 1 はエコーでは診断できなかった.PTAの症例では,PAPVCの合併を常に念頭に置き,注意深くエコーを実施すべきである.

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