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新しいノイズレダクションシステムを備えた多機能心電計レーダーサークによる心電図測定値の信頼性
愛知医科大学小児科1),横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター心臓血管センター2),日本大学医学部小児科学系小児科学分野3), 福岡市立こども病院・感染症センター循環器科4),あいち小児保健医療総合センター循環器科5)
馬場 礼三1),岩本 眞理2),住友 直方3),牛ノ濱 大也4),安田 東始哲5),長嶋 正實5)

【背景】小児の心電図記録では体動時のノイズ混入が問題となる.RadarcircTM(RC,大日本住友製薬)は体動等によるノイズが混入する環境下に強い心電計である.これは適切なデジタルフィルタを必要な部分のみに適用することによってノイズの少ない心電図記録を可能にするが,小児でその信頼性を検討した報告はない.【方法および結果】〈検討 1〉ノイズ合成前のRCによる心電図測定値の信頼性を検討.シミュレーション心電図波形(V1-V6 各 4 心拍)をRCにより解析し,QT間隔,QRS幅,R波高,T波高を測定.熟練測定者(RB)が同様の計測を行い,Bland-Altman法により測定値一致の良否を検討.ノイズを加えない場合,RCによる測定値と手動計測との一致は良好であった(QT間隔,QRS幅,R波高,T波高それぞれのlimit of agreement -7~+6%,-12~+5%,-16~+9%,-33~+31%).〈検討 2〉ノイズ負荷の影響を検討.被験者 3 人に心電図記録を行い,その後それぞれの心電図波形に種々の周波数(0.1Hz,0.2Hz,0.4Hz)と振幅(0.75mV,1.5mV)の正弦波をノイズとして合成した.ノイズ合成前のRCによる測定値を基準値とし,それぞれのノイズ条件下でのRCによる測定値と手動計測測定値を比較した.正弦波ノイズを合成した場合,手動計測では大きな誤差が生じたのに対し,RCでは誤差は小さかった(たとえば,0.1Hz,1.5mVの正弦波ノイズ下で,QT間隔測定値誤差の95%信頼域は手動計測-19~+9%,RC-4~+3%,QRS幅でそれぞれ-69~+37%と-7~+6%,R波高でそれぞれ-69~+37%と-25~+55%,T波高でそれぞれ-119~+147%と-39~+33%).【結論】RCは小児においてノイズ混入下でも正確な心電図測定値が可能であった.

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