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左側slow Kentによる房室回帰性頻拍(AVRT)と考えられた 1 例
社会保険中京病院小児循環器科1),循環器科2)
大橋 直樹1),松島 正氣1),西川 浩1),久保田 勤也1),坪井 直哉2)

【症例】15歳,男児.小学 1 年の学校検診でPVCを指摘され,フォローアップされていた.PVCは減少傾向であったが,前胸部鈍重感を訴え,ホルター施行.ホルターにて,narrow QRS tachycardiaを認め,アブレーションとなった.安静時12誘導心電図では,デルタ波を認めなかった.電気生理検査(EPS)の心房期外刺激でjump upを 2 回認めた.イソプロテレノール負荷に心室期外刺激で,long R-P’のPSVTが容易に誘発された.頻拍中,心房波の最早期興奮部位は,冠静脈洞開口部より遠位で,ATP投与により室房ブロックで頻拍は停止した.また,頻拍中の心室刺激のエントレインメントで,頻拍は,ペーシング後,A波で持続し,ペーシング中のVA時間とペーシング後のVA時間は同じであった.これらの所見から,ATP感受性のslow KentによるAVRTと診断した.中隔を穿刺し,左房をCARTOでマッピングすると,僧帽弁輪部の後側壁が最早期興奮部位であった.最早期興奮部位への高周波通電によりPSVTは停止した.【結語】頻拍中に心室刺激のエントレインメントがAVNRTとAVRTの鑑別に有用であった症例を経験した.

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