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3DCTによる解剖学的検討が心内修復術施行に有用であった,左肋軟骨欠損により極度な心臓右方偏位を伴った心室中隔欠損症 + 心房中隔欠損症の 1 例
横浜市立大学附属病院小児循環器科1),東京都立清瀬子ども病院心臓血管外科2),横浜市立大学附属病院心臓血管外科3)
西澤 崇1),岩本 眞理1),志水 直1),渡辺 重朗1),山口 和子1,2),寺田 正次3),町田 大輔3),磯松 幸尚3),益田 宗孝3)

左肋軟骨欠損を合併し,左肺過膨張のため心臓が極度の反時計回転を来し,正面から見るとLAO view 90度と同等の角度にまで心臓が偏位したVSD + ASD症例の心内修復術成功例を経験した.心内修復術施行に際し3DCT画像所見の検討が有用であった.【症例】4 カ月男児.在胎36週 4 日,3,466g,Apgar 8/10,近医産院にて出生.生直後より左胸部陥没を認め,呼吸障害出現し,近医NICUに搬送となった.胸部XPにて左肋軟骨欠損が確認された.心エコー上VSD(perimembranous outlet extension),ASD(central type),PLSVCが診断された.次第に高肺血流による心不全が進行し,換気不全による呼吸障害の出現を認めた.生後 3 カ月時に心臓カテーテル検査を施行した.PA 50/15,Ao 60/40(mmHg),Qp/Qs = 2.1,Rp = 2.8,PAI = 257と高肺血流による肺高血圧を認めた.胸部XPにてCTR = 62.8%と心拡大著明で体重増加不良を認め,心不全呼吸不全のコントロールが困難であり心内修復術施行の方針となった.術前に3DCT施行し解剖学的な構造を確認した.胸骨正中切開によるアプローチとしカニュレーションをAAo送血,LSVC脱血にて体外循環を開始とし,その後IVCに脱血カニューレを挿入するシミュレーション計画をした.予定どおりのカニュレーションに成功しtotal circulationに移行後,右室を左方に脱転し右房全体を確認可能となり,ASD直接縫合,VSDパッチ閉鎖に成功した.術後の経過は良好で,呼吸障害も改善した.【結語】左肋軟骨欠損による極度な心臓右方偏位を来し心内修復術施行に困難が予想されたASD + VSD + PLSVC症例を経験した.解剖学的な構造確認に3DCTが有用であった.PLSVCの存在が,体外循環の確立を容易にした.

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