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小学校 1 年心臓検診における心筋緻密化障害—二次検診に心エコードプラ法を用いて
西濃地域保健所管内児童心臓検診読影委員会1),岐阜県医師会心電図解析委員会2),富山大学医学部小児科3)
田内 宣生1),倉石 建治1),西原 栄起1),村島 謙1),森木 稔夫1),佐久間 孝1),西田 佳雄1),安田 洋1),河合 直樹2),吉田 麗己2),市田 蕗子3)

【目的】心筋緻密化障害(NVM)はWHOのunclassified cardiomyopathyとして分類され,新しい心筋症としてその報告は増加している.それほどまれな疾患ではないことがわかってきたが,疫学的にも不明な点が少なくない.心エコードプラ法(UCG)を用いた学校心臓二次検診におけるNVMの頻度につき検討した.【対象と方法】2006~2007年度の岐阜県西濃地域小学 1 年検診では6,460人中6,446人が一次を受診し(受診率99.8%)省略 4 誘導心電図を記録した.二次として260人(4%)を本学会の基準に基づき抽出し,全員に聴診,12誘導心電図,心エコードプラ法(UCG)を施行した.NVMの診断はUCGを用い市田の基準に従った.【結果】3 人(男 2,女 1)がNVMと診断された(0.046%).一次の判定は右脚ブロック(RBBB)2,V1誘導ST異常 1 であった.1 例は左室心尖部から後壁,側壁に,2 例は心尖部と後壁に限局する特徴的な肉柱形成を認めた.血栓形成,心機能障害を示す例はなく,運動負荷による不整脈誘発もなかった.顔貌異常,発達障害,神経血管疾患を伴うものはなかった.1 例の姉に同様の所見を後に認めたが他の家族歴は不明である.2 例でアスピリンによる抗血小板療法中である.【結論】西濃地域小学 1 年心臓検診にて6,460人中 3 例(0.046%)のNVMが発見された.一次検診心電図所見はいずれも軽微なものであり,二次抽出基準を満たさない例の存在も予想され,その頻度はさらに増加する可能性がある.これら無症候性NVMに対しては慎重な経過観察が必要と考えられ,家族歴をさらに調査する必要がある.

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