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未治療心疾患の発育に及ぼす影響(第 2 報)—モンゴル国 4 県の心臓検診データより
KKR立川病院小児科1),モンゴルハートセービングプロジェクト2)
堀口 泰典1),富田 英2),羽根田 紀幸2),野木 俊二2),檜垣 高史2),田村 真通2),上田 秀明2),片岡 功一2),山本 英一2),高田 秀実2),矢野 宏2)

【背景】2004~2007年第 6 ~ 8 次モンゴル渡航小児循環器診療でモンゴル国の 4 県で小児447人成人31人を対象に心臓検診を行った.【目的】小児心疾患が発育に及ぼす影響を再検討する.【方法】検診時身長体重の計測も行った.分析は(1)正常群(男児143例,女児173例),(2)有心疾患群(男児47例,女児62例)の 2 群に分け検討した.まず正常群の計測値より年齢階級別平均値,標準偏差を算出し「発育曲線」を作成.それに有心疾患群をプロットする他年齢階級別の平均値を算出して比較検討した.【結果】(1)正常群男児:1 歳71.2±5.7,2 歳84.7±5.8,4 歳101.2±10.8,5 歳112.7±8.7,6 歳112.4±14.2,7 歳122.3±12.5,8 歳97.5±21.0,9 歳137.5±6.4,10歳132.3±10.8,11歳141.5±7.8,12歳130.9±9.3,13歳143.4±17.5,14歳154.2±16.8,15歳161.1±7.8,正常群女児:1 歳76.7±6.5,2 歳89.5±5.2,3 歳86.3±7.4,4 歳101.8±8.2,5 歳104.3±10.4,6 歳103.4±8.7,7 歳122.6±9.4,8 歳120.4±11.1,9 歳128.2±14.2,10歳131.3±11.8,12歳137.5±12.8,13歳153.2±18.7,14歳153.5±6.4,15歳157.4±11.0,(2)有疾患群も男女で同様に年齢階級別平均値を算出したが n が少なく正常群と有意差は出なかった.(平均‐標準偏差)を下回る有疾患者はやはりVSD等容量負荷群に多かった.また正常群を日本の成長曲線にプロットしたところ思春期以降,有意に低値であった.【考案,結論】容量負荷疾患は健常児に比べ身長の伸びが遅れる.正常群であってもわが国より平均身長が低い原因につき今後検討が必要である.

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