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高校生における生活習慣病関連指標の基準値作成に向けて
国立病院機構鹿児島医療センター小児科1),厚生労働科学研究「幼児期・思春期における生活習慣病の概念,自然史,診断基準の確立および効果的介入方法に関するコホート研究」研究班2)
田中 裕治1),和田 昭宏1),篠宮 正樹2),吉永 正夫2)

【背景】高校生においてもメタボリックシンドロームの概念にあてはまる生徒が増えていることが予想されるが,個々の生活習慣病の基準値が策定されていないため,高校生のメタボリックシンドロームの診断ができない.【目的】高校生の個々の生活習慣病の基準値を設定すること.【対象と方法】2006,2007年鹿児島県および千葉県で行われた生活習慣病検診を受診した生徒のうちBMI 30未満の男子211名,女子373名,計584名.検診内容は計測〔身長,体重,腹囲,収縮期(SBP)および拡張期血圧(DBP)〕,血清生化学値測定〔HDL-コレステロール(HDL-C),中性脂肪(TG),空腹時血糖(FBS),総コレステロール(TC),インスリン,ALT,尿酸〕.【結果】(1)男子(平均値±標準偏差,90パーセンタイル値)の順に記載した.HDL-Cは10パーセンタイル値を用いた.腹囲は75±10,82cm,SBPは116±10,127mmHg,DBPは62±10,74mmHg,TGは65±41,114mg/dl,HDL-Cは58±12,45mg/dl,FBSは88±6,96mg/dl,インスリン値は7.0±4.8,11.1IU/ml,TCは160±29,186mg/dl,ALTは24±42,28 IU/l,尿酸は6.0±1.3,7.2mg/dlであった.(2)女子(記載方法,単位は男子に同じ).腹囲は72±6,80,SBPは106±9,117,DBPは60±9,72,TGは64±41,102,HDL-Cは64±14,48,FBSは86±6,93,インスリン値は8.0±4.3,13.2,TCは170±28,205,ALT 12±5,17,尿酸6.0±1.3,5.6であった.【結論】上記の結果から収縮期血圧のみは男女別に基準値を作成したほうがよいと考えられた.メタボリックシンドローム診断基準として用いられる個々の基準として腹囲80cm以上,収縮期血圧男子130mmHg以上,女子120mmHg以上,拡張期血圧75mmHg以上,中性脂肪110mg/dl以上,HDL-コレステロール45mg/dl未満,空腹時血糖95mg/dl以上が暫定値として妥当な値と考えられた.2008年度まで対象者数を増やし,最終案に向けて検討していきたい.

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