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早産児の生後早期循環評価における組織ドプライメージング(TDI)法の意義
加古川市民病院小児科
村瀬 真紀,石田 明人

【目的】生後早期の早産児の循環評価における組織ドプライメージング(TDI)法の意義を,従来よりの循環評価法と比較しながら検討する.【対象と方法】加古川市民病院ベビーセンターに2004年 9 月より2007年 8 月までに入院した,出生体重1,500g未満のAFDの極低出生体重児で,生後早期より経時的にTDIによる心機能評価を観察し得た15人を対象とした.出生直後よりの経時的心エコー評価は,Philips Medical SONOS5500に5.5/7.5MHzのプローベを装着して施行した.TDIは原則として,心尖部よりの四腔断面における,僧帽弁(MV)および三尖弁(TV)弁輪部において測定した.【結果】(1)対象の平均在胎週数は29.4±1.9週,平均出生体重は1,234±189gであった.対象15人に対して生後 3 時間より日齢28までに,計192回のTDI評価を施行し得た.TDI評価症例は出生直後のみ,特にTV部において60%と低かったが,以降はほぼ85~100%評価可能であった.(2)症例全体で,MV弁輪部S波,E波,A波の最大流速Sa,Ea,Aaにおいて,SaはLVEFとr = 0.354で緩やかな正の相関を認め,Eaはパルスドプラ法(PD)による右室拍出量(RVO)とr = 0.331でやはり正の相関を認めた.TDI-Tei indexはPD法によるLV Tei indexとr = 0.47と正の相関を認めた.(3)TV弁輪部においては,SaはLVEFとr = 0.34と正の相関を認めた.TDI-TeiはPD-Teiとr = 0.594で正の相関を認めた.【考案】早期重症早産児においても,TDIによる早期循環評価は十分可能であったが,TDIの各パラメータの循環評価における意義は明確でない.TDIによるTei index評価はPD法によるよりも容易であり,今後重症早産児臨床に取り入れていける可能性が考えられた.

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