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3D-CTと心臓カテーテル検査の検査所見が乖離した大動脈縮窄症 4 例
済生会宇都宮病院小児科1),心臓血管外科2)
高橋 努1),小島 拓朗1),加島 一郎2),井原 正博1)

【背景】複雑心奇形に対して3D-CTを行う機会は多いが,圧測定はできないため,狭窄程度を過大評価する可能性もある.われわれは3D-CTでは狭窄を認めるものの,心臓カテーテル検査(心カテ)で予測していた程の圧較差を認めなかった大動脈縮窄症を 4 例経験したので報告する.【症例 1】9 歳男児.日齢 8 に端々吻合施行.血圧上下肢差は20mmHgで下肢が低く,エコーでモザイクと圧較差34mmHgを認め,残存狭窄ありと診断.3D-CTで下行大動脈に比較的強い狭窄を認め,縮窄前径は14mm-6mm-14mm.心カテで圧較差20mmHgで経過観察とした.【症例 2】5 歳女児.日齢10に端々吻合施行.血圧上下肢差は 8mmHgで下肢が高いが,エコーでモザイクと圧較差17mmHgを認め,残存狭窄の疑いありと診断.3D-CTで大動脈弓に軽度の狭窄を認め,縮窄前径は13mm-10mm-13mm.心カテで圧較差なく経過観察とした.【症例 3】9 カ月男児.ファロー四徴症合併.血圧上下肢差は10mmHgで下肢が低く,エコーでモザイクと圧較差25mmHgを認めた.3D-CTで大動脈弓に比較的強い狭窄を認め,縮窄前径は10mm-4mm-8mm.心カテで縮窄前後の圧較差は 3mmHgで,心室中隔欠損閉鎖術と右室流出路形成術のみ行った.【症例 4】16歳女児.生後 1 カ月時に鎖骨下動脈フラップ手術施行.血圧上下肢差は14mmHgで下肢が高いが,エコーでモザイクと圧較差21mmHgを認め,残存狭窄の疑いありと診断.3D-CTで下行大動脈に狭窄を認め,縮窄前径は14mm-10mm-14mm.心カテで圧較差 2mmHgで経過観察とした.【考察】3D-CTは視覚的に理解しやすく,縮窄部の径や広がりを測定でき有用な検査である.しかし,過大評価する可能性も念頭に置き,血圧の上下肢差や心エコー等で総合的に判断し治療方針を検討することが重要である.

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