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2Dスペックルトラッキングを用いた心房中隔欠損症における心室中隔壁運動の解析
京都府立医科大学大学院医学研究科小児循環器・腎臓病学
問山 健太郎,糸井 利幸,河井 容子,佐藤 恒,小澤 誠一郎,白石 公,浜岡 建城

【はじめに】右室と左室の壁運動には相互関係(クロストーク)が認められる.そのため心房中隔欠損症(ASD)での右室容量負荷が左室壁運動に影響を与え得る.近年,心エコー図法においてスペックルトラッキングという手法が開発され,角度依存性がないため有用な心機能評価法として注目されている.このスペックルトラッキング法を用いて心室壁局所の運動(strain)が解析できる.今回,右室容量負荷時の左室壁運動の変化,特に心室中隔の動きの変化について円周方向strain(circumferential strain:CS)による検討を行った.【対象】正常例 7 名(平均3.5歳,男女比 4:3),ASD 6 名(平均4.1歳,男女比 3:3).【方法】SEAMENS社製心エコーSEQUOIAを用いて断層心エコー図検査を施行し,乳頭筋レベルの短軸像を一心拍記録した.オフラインで同社製解析ソフトsyngo US Workplaceで心室中隔(IVS)のCS(IVS-CS)およびIVS以外の部位(free wall)のCS(FW-CS)を計測し検討した.【結果】正常群ではIVS-CS = -21.8:FW-CS = -19.6,ASD群はIVS-CS = -23.5:FW-CS = -20.2でそれぞれ差はなかった.一方,IVS-CSおよびFW-CSがpeakに達するまでの時間(time to peak:TtP)は,正常群でTtP(FW-CS)= 301m秒:TtP(IVS-CS)= 314m秒と差がなかったのに対し,ASD群ではTtP(FW-CS)= 300m秒:TtP(IVS-CS)= 265m秒で有意に短かった.【考察】収縮の程度は 2 群で差はなかったが収縮の速度がASD群のIVSで速かった.ASDでは通常右室に容量負荷がかかっているが,今回のIVS-CSの変化とのかかわりについて文献的考察も交え報告する.

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