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スペックルトラッキング法を用いたストレインによるFallot四徴症術後症例の左室収縮様式の評価
京都府立医科大学大学院医学研究科小児循環器・腎臓病学
河井 容子,問山 健太郎,糸井 利幸,浜岡 建城

【背景および目的】Fallot四徴症(TOF)術後症例では心室中隔を中心に左室収縮低下を認めることが少なくない.しかしながら,従来の2Dエコー法では,収縮期の心臓の前方移動などの因子が絡み,正確な心筋壁の収縮様式の評価には限界があった.近年,心エコー法においてスペックルトラッキングという手法が開発され,角度依存性がないことから,組織ドプラに比して有用な新たな心機能評価法として注目されている.今回,われわれはこのスペックルトラッキング法から得られたストレインを用いて,TOF術後症例の左室収縮様式の評価を行った.【対象と方法】対象は当施設で心内修復術を行ったFallot四徴症(PA with VSD症例含む)4 症例(年齢 2~5 歳)で,Mモード心エコーで 3 例が中隔の奇異性運動,1 例が中隔壁運動の平坦化を認めた.この 4 例につき,左室乳頭筋レベル短軸断面を 6 segmentに分割して重心方向のストレイン(RS)と円周方向のストレイン(CS)を測定し,中隔以外の 5 segmentの平均と中隔segmentのピーク値を比較した.用いた機種はSIEMENS社製SEQUOIAで,off lineでsyngo US workplaceにて解析を行った.【結果】RSは中隔:+38.0%,中隔以外の 5 segmentの平均:+21.4%,CSは中隔:-17.2%,中隔以外の 5 segmentの平均:-13.6%であり,中隔壁の収縮能は中隔以外の領域と比較して低下はなく,むしろ高い傾向にあった.Mモード心エコーでの左室内径短縮率(LVFS)は平均40.5%,駆出率(LVEF)は平均72.9%であった.【結論】Fallot四徴症心内修復術後症例においては,Mモードエコー等で中隔壁運動低下が認められる例でも,実際の心室中隔の収縮能は低下していない可能性があり,スペックルトラッキング法を用いたストレインによる評価は有用であった.

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