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小児心疾患における血中matrix metalloproteinases
埼玉医科大学国際医療センター小児心臓科
水田 桂子,先崎 秀明,岩本 洋一,石戸 博隆,小林 俊樹,竹田 津未生,増谷 聡

【背景】細胞外器質分解酵素であるmatrix metalloproteinases(MMP)は,心不全における心室リモデリングに重要な役割を演じており,MMPが異常に活性化された状態では,心筋細胞外基質破壊が促進され,心不全進展における心拡大をもたらす.成人においては血中MMP9やMMP2の濃度が心拡大と有意な関係をもっていることが示されている.今回われわれは小児心疾患における血中MMPと心室リモデリングに関して検討した.【方法】心房中隔欠損 9 例,心室中隔欠損10例,単心室 8 例,その他14例において心臓カテーテル検査時に血中MMP(1,2,3,9)の濃度を測定し心室volume loadの指標としての肺体血流比との関連を検討した.【結果】MMP1,2,9 はどの疾患群においても正常小児で得られた値に比して有意に高値を示した(p < 0.05).MMP2は肺体血流比と弱い正の相関(r = 0.48)を示した.【考察】血中MMPは小児心疾患においても心室のリモデリングに関与している可能性が示唆される.今後症例数を増やし,他の疾患群における変化や,心室拡張能との関連,前方視的検討によるリモデリングとの因果関係のさらなる検討,予後との関係につき考察に値すると思われる.

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